SNSは考察合戦で大盛り上がり

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出典:日曜劇場『天国と地獄』公式サイト

「陸が黒幕じゃない? だって柄本佑だし」
「数字から始まる名前の八巻も殺される気がする」
「彩子の中にいるのはすでに日高じゃないのかも」

……などなど、さまざまな“考察”が生まれては消えていった日曜劇場『天国と地獄』(TBS系 日曜9時~)。今季の民放制作ドラマにおいて、SNSでの盛り上がりと視聴率の掛け算でもっとも高いスコアを記録している本作。森下佳子の描くトリッキーでありながら、ガツンと芯の通った脚本に翻弄される視聴者も続出だ。

7話と8話では絡まった糸が少しずつほぐされ、いくつかの謎が明らかになった。日高の生き別れの兄・東朔也の正体は、陸の師匠・湯浅和男。また8話の最後、満月の晩の時点では、彩子の中にいるのが日高本人で確定(その後、ふたりがふたたび入れ替わり、元に戻ったと印象づける予告あり)。

さて、残すところあと数話で、すべてのピースがきっちりハマるのだろうか。

……と、物語の行方にドキドキしながら、今回あらためて注目したいのが、俳優・高橋一生(40歳)の演技力と存在感だ。

 

最高に巧い、高橋一生の“入れ替わり”演技

Rodrigo Reyes Marin/アフロ

Rodrigo Reyes Marin/アフロ

このドラマは警視庁の刑事である望月彩子(綾瀬はるか)と、猟奇殺人事件の容疑をかけられたベンチャー企業の社長・日高陽斗(高橋一生)がともに階段を転げ落ち、中身が入れ替わってしまうところから大きくストーリーが展開する。そのため、高橋一生は“中身が彩子で身体は日高”の芝居を成立させなければいけないワケだが、これが最高に巧い。

男性俳優が女性言葉を語り、柔らかい仕草を前面に出した演技をすると、いわゆるおネェモードになることも多い中、高橋はこの難しい役柄をきっちり体現。回が進むにつれ、日高の外見に彩子の姿が重なって見える瞬間が何度もあった。

高橋一生は稀有な立ち位置の俳優だ。主役も張れば個性的な役柄で助演に回ることもある。ゴリゴリの重厚作品から軽いコメディや恋愛ものまで、どんな役でも自分のものにしてしまうスキルは、アラフォー俳優陣の中でも突出していると言っていい。

が、世間は最初から彼の実力にひれ伏していたわけではなかった。

 

世の中的なブレイクは2015年の『民王』

子役から芸能活動を始めていた高橋一生が世の中的に“ブレイク”したのは2015年の『民王』(テレビ朝日系)で総理の秘書・貝原を演じた頃から(そういえば、この『民王』も、総理大臣とその息子が入れ替わる話だった)。なんとデビューから25年経ってのことである。それ以前、特に『Woman』(日本テレビ系、2013年)の医師・澤村役までは、ひきこもりや闇を抱えた犯人役など“陰”の役柄を得意とし、映像での主役向きではないとの印象を持たれることも多かった。

しかし、『民王』で“ひとクセあるコメディタッチの役も完ぺきにこなす”芝居を見せつけた高橋は、2017年の3作品、大河ドラマ『おんな城主 直虎』(NHK)と朝ドラ『わろてんか』(同)、さらに『カルテット』(TBS系)でさらに飛躍。その後も『僕らは奇跡でできている』(フジテレビ系、2018年)や『みかづき』(NHK総合、2019年)、『東京独身男子』(テレビ朝日系、2019年)、『岸辺露伴は動かない』(NHK総合、2020年)等、プライム枠での主演作が続々とオンエアされ、今ではとんでもない数のオファーを受ける超人気俳優だ。

前述の『Woman』より前は“陰”キャラが多く、それ以降は“陽”の役が増えたと自らも語る高橋一生。そんな彼が「陰」と「陽」=「月」と「太陽」が物語の大きなファクターである『天国と地獄』で、「陽」の人生を歩み、「陰」に隠れた者から妬まれる日高陽斗という役を演じるのはまさに運命だったのかもしれない。これまで幾多のキャラクターを演じ、光も陰も体験しつくしてきた高橋にしかこの役は担えない。

 

いよいよドラマは最終章へ

『天国と地獄』の“入れ替わり”。当初は彩子と日高のそれにフォーカスが強く当たっていたが、八巻(溝端淳平)を筆頭に陸(柄本佑)、そして五木(中村ゆり)と周囲の人々が「日高の中にいるのは彩子で、彩子の中にいるのが日高」な現状をあっさり受け入れたことから、次第に「幼い頃に引き離された二卵性双生児の兄弟」と「奄美大島に伝わる月と太陽の伝説」のリンクへと物語の焦点が移ってきた感がある。

先に生まれたばかりに、父親に引き取られて辛酸をなめることになった東朔也と、母の恵まれた再婚で裕福に育った日高陽斗。このふたりの関係が、奄美大島の「月」と「太陽」の伝説とどう結びつくのか。そして、なぜ心優しかった兄・東朔也が「クウシュウゴウ=ファイ」として連続猟奇殺人を犯すような人物に変貌してしまったのか。

最終章では朔也と陽斗の実の父・東貞夫(浅野和之)や、「暗闇の清掃人Ø」の作者・十和田元(田口浩正)もふたたび登場し、なぜ糸が複雑に絡んだのかを解く鍵を提示するのだろうと思いつつ、高橋一生が魅せる演技に今まで以上に注目したい。なぜなら、彼にとってこの『天国と地獄』が代表作になることは間違いないのだから。

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