幻想的な杉木立~ヤブミョウガの白い花が一面に
峠を過ぎた辺りは、もう横浜市。道を少し下ると、三叉路があります。進行方向にそのまま進めば横浜市側のバス通りに出られますが、ここではちょっと寄り道して右折し、熊野神社を訪れてみましょう。ゆるやかにカーブを繰り返しながら、森の道を歩いていきます。
道なりに右へと進んでいくと、杉木立。8月中旬~9月中旬ごろなら、辺り一面に、ヤブミョウガの白い花が咲いているかもしれません。まるで白いベールをまとったよう。
ヤブミョウガは、鎌倉の、薄暗い森によく自生している植物。葉も花も、輪のような丸い段になってつくのが特徴です。ミョウガの名がつきますが、残念ながらミョウガはとれません。鎌倉の辺りでは、ヤブミョウガがここれほどたくさん見られるところは、ほかにありません。
熊野神社~巨木そびえる鎮守さま
杉木立を抜け、熊野神社の鳥居へ。石段を登っていきましょう。暗い森を抜け、明るい日の光が差し込む熊野神社へと到着です。道中の無事を祈ってお参りを。ここは、朝夷奈の鎮守さま。朝夷奈切通を開発する際の守護神として、頼朝が熊野三社大明神を勧進した社とされています。手前に見えるのは拝殿で、拝殿後ろの本殿へは、右手の階段を使って登っていくことができます。境内には横浜市の古木名木に指定されたイチョウ、スギ、スダジイなどの巨木がそびえ、悠々とした姿は、心に落ち着きを与えてくれそう。
境内は少し開けていて、このルートには腰を下ろせるところが少ないので、シートを広げて少し休憩させていただくのもいいですね。
心落ち着くひとときを過ごしたら、熊野神社を後にし、先ほどの三叉路まで戻りましょう。
<DATA>
■熊野神社
住所:横浜市金沢区朝比奈町578
YAHOO! 地図map.yahoo.co.jp/maps
横浜市側に下ってバス通りへ
今度は太い道を、横浜方面に降りていきます。なだらかな下り坂。この辺りでも、切通の景観に出会えます。岩壁は風化し、地層が階段状に浮き彫りになって、いにしえの世界へ通じるトンネルのよう。横浜横須賀道路ガード下の、道の脇の乾いた砂を見てみましょう。2センチくらいの、くぼんだすり鉢状の穴があるかもしれません。これはアリジゴクの巣。砂の斜面を滑り落ちたアリを捕まえて食べる、ウスバカゲロウの幼虫がすんでいます。めったに濡れることがない砂地は、すむのに適した環境なのでしょうね。
さらに下れば、車道に出ます。道端の石塔群に迎えられ、ほっと一息。カヤの大木を眺めながら車道を歩いて、バス通りに出れば、すぐ左に朝比奈バス停があります。
お疲れさま! 緑に包まれた古道を抜け、タイムスリップして現代に戻ってきた気分。朝比奈バス停から、バスで鎌倉駅へ戻りましょう。奥深い自然に包まれた、歴史と信仰の道。心がリセットされて体にエネルギーが満ちてくるような、パワースポットです。