失認症の障害部位・主障害・評価法

高次脳機能障害undefined失認症

失認は、視覚、触覚、聴覚など感覚を介し、対象物を認知することが困難になる障害です。その障害は多様であり、日常生活の観察でも著明に影響がみられる場合があります。

1.触覚失認
  • 障害部位:優位半球後頭葉
  • 主症状:表在感覚、深部知覚に問題がないが、日常生活に使う物品に触れてもその物品の使用用途などを理解できない。
  • 評価法:閉眼状態で、ペンや鉛筆、箸など日常使うものに触れてもらい、それが何なのかを問います。
2.視覚失認
  • 障害部位:両後頭葉
  • 主症状:視覚に問題がないが、見たものの認識ができない。
  • 評価法:物を見せ、その物の名称や用途を答えてもらいます。その他、標準高次視知覚検査(VPTA)などを用います。
3.相貌失認
  • 障害部位:左右側頭葉~後頭葉
  • 主症状:よく知っている人物の顔がわからなくなる。顔で人を識別する事が困難になる。
  • 評価法:家族の写真や本人の写真が準備できればよいが、難しい場合、認知機能評価を加味した上で、日常のコミュニケーションから判断する。※職員の顔を覚えている様子がみられるか?など。その他、標準高次視知覚検査(VPTA)などを用います。
4.同時失認
  • 障害部位:両後頭葉
  • 主症状:図や写真の部分的な認識はできるが、全体の認識ができない※例 集合写真があった場合、個別の人の認識はできるが集合写真という認識ができない状態。
  • 評価法:評価に用いても問題のない集合写真や一家団欒等のイラストを見せ、それがどんな状況なのかを問います。その他、標準高次視知覚検査(VPTA)などを用います。
5.色彩失認
  • 障害部位:優位半球後頭葉
  • 主症状:色彩知覚は正常だが、色の名前や選択ができなくなる。
  • 評価法:色鉛筆や風船など複数の色がある物品を使い、指定した色を荒ベルか確認します。その他、標準高次視知覚検査(VPTA)はなどを用います。※白内障や緑内障などの影響もある為、既往歴は事前に確認しましょう。
6.聴覚失認
  • 障害部位:優位半球側頭葉
  • 主症状:聴覚に異常はないが音の認知や識別ができなくなる。
  • 評価法:閉眼で聴きなれた音を聞いてもらい、その音を判断してもらう。※風鈴など
7.空間定位障害(視空間失認)
  • 障害部位:左右頭頂葉・後頭葉
  • 主症状:空間における物体の位置を把握できない。
  • 評価法:開眼状態で机の上にある物品を触らせ、その後、閉眼状態で触ったものにもう一度触れてもらうように指示する。その他、標準高次視知覚検査(VPTA)などを用います。
8.半側空間無視(視空間失認)
  • 障害部位:左右頭頂葉・後頭葉
  • 主症状:空間における左右いずれかの半側を認識できず、無視してしまう。
  • 評価法:線分末梢、線分二等分テスト、図形の模写等を実施。その他、標準高次視知覚検査(VPTA)などを用います。
9.手指失認(身体失認)
  • 障害部位:優位半球の頭頂葉、側頭葉
  • 主症状:自分や他人の手指の認識(名称の判別、識別など)ができない状態。
  • 評価法:検査者が指示した手指を示してもらう。
10.身体部位失認(身体失認)
  • 障害部位:優位半球の頭頂葉、側頭葉
  • 主症状:自分や他人の身体部位の認識(名称の判別、識別など)ができない状態。
  • 評価法:検査者が指示した部位(鼻や口など)を示してもらう。
11.半側身体失認(身体失認)
  • 障害部位:劣位半球の頭頂葉、後頭葉
  • 主症状:自己の身体半側の認知ができない状態。
  • 評価法:身体部位の確認および、模倣などの動作指示後、動作観察。
12.病態失認
  • 障害部位:劣位半球の頭頂葉、後頭葉
  • 主症状:自分の病気や症状を否認し認めない。健常であるようにふるまう。
  • 評価法:基本的にはコミュニケーション、行動観察により判断します。
如何でしたでしょうか?理学療法士を目指し現場に出た際、「患者さんの状態を常によくみなさい」と指導される事は多いです。動作のスペシャリストとして、高次脳機能障害がもたらす影響を加味するのはとても重要なことですので、しっかり把握しておきましょう。

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