中学受験/中学受験の志望校選び・学校情報

自ら成長できる子に!偏差値に縛られない志望校選び(2ページ目)

中学受験の受験生をお持ちの皆さんは、お子様の志望校をどのように決めてらっしゃいますか? 今回は、志望校決定の一般的な視点を踏まえて、子どもの将来につながる新しい基準をご提案したいと思います。

宮本 毅

執筆者:宮本 毅

学習・受験ガイド


「価値観の多様性」という新しい評価基準

中学受験の志望校を決める新しい視点のヒントを探るため、都内の新興人気校を訪ねてお話を伺ってきました。今回取材にご協力いただいたのは、吉祥女子中学と山脇学園中学です。

私は取材をするまで、新基準として、やはり今の子ども達が成人する10年後の世界を見据えたグローバル教育をいかに中高の教育に取り入れていくかが、大きなポイントになるのではないかと考えていました。吉祥女子中学では姉妹校1年間留学制度など海外交流のシステムを整えていますし、山脇学園でもクロスカルチャークラスやイングリッシュアイランドなど独自のグローバル教育を推進しており、当然そのような視点こそ新しい中学受験の志望校選びの視点となるべきであるという結論に達するものと思っていました。しかし両校の先生から返ってきたお答えは意外なものでした。

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今回取材に訪れた吉祥女子中学の正門

吉祥女子中学教頭の萩原先生ははっきりとこう言い切りました。「10年後の世の中がどうなっているかなんて正直わからないですよ」と。確かに私たちの世界は私たちの予測を超えてハイスピードで変化しています。現時点で10年後の価値観を予測しても、それが大きくずれてしまっている可能性だってあります。その上で萩原先生は「世の中は変化していくものだから、どのように変化したとしてもそれに対応できるように、中学高校の6年間でその土台作りをしてもらいたい」とおっしゃっていました。同校広報部長の綾部先生も「私たちの仕事は、子どもたちが将来社会に出たときに、自分に自信を持って人生を創っていけるようにサポートしていくことです」とおっしゃいます。

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山脇学園中学 未来創造統合型教育部長、中田成昭先生

山脇学園中学の未来創造統合型教育部長の中田成昭先生もこんな風におっしゃっています。「昔はいい学校に入って、いい大学に行くことができれば、いい会社に入れる、という単線型の社会でした。しかし今はそうした流れは崩れかけていると思います。安泰と言われた大企業も業績を悪化させたり潰れたりしています。私たちは、そうした社会の変化に対応できるように、新たな価値観を創り出さなければならないと思います。その意味で本校は、多様性のぶつかり合う場所であってほしいと願っています」

実際に私立中学や高校で現場に立って子ども達の指導をされてらっしゃる先生方から聞くことができたのは「価値観の多様性」というものでした。今いる生徒たちの将来を見据えて、多様な価値観を認め育んでくれる学校であるかどうかが、ひとつの志望校選択の新たな視点になりうると感じました。


忘れてはいけない「卒業後の満足度」

学校の先生方にお話を伺っていく中で、もうひとつ重要なキーワードが存在することに気付きました。それが「卒業後の満足度」という言葉です。この場合の「満足度」とは「保護者の」ではなく「生徒本人の」という意味です。

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山脇学園中学 入試広報部長、西川史子先生

山脇学園中学の入試広報部長の西川先生は「当校は卒業生の満足度は100%に近いと思います」と胸を張ってらっしゃいました。「本校では卒業する時に、この学校で学べて本当に良かった、と思って巣立っていってほしいと考えています。正直、本校に入学するときには、挫折感を持って入ってくる生徒もいます。しかし多くの子ども達は、本校で自分を見つけ出し、満足して卒業してくれます(西川先生)」

吉祥女子中学の綾部先生も、卒業生の婚約者の男性がわざわざ女子高に足を運び、サプライズ動画を撮影して帰ったという話を例に挙げて「望んだ進路に進むことが出来ている子供たちの割合は高いと思います。自分の次のステップを自分で見つけ出して、成長し満足して卒業していく生徒の数は多いと思います。だからこそ卒業した後もみんな喜んで本校に戻ってきてくれる。その人数の多さは私たちの誇りです」

良い学校というものはごくごく単純に、卒業した後も生徒が遊びに来てくれる学校だと言えそうですね。これはわかりやすく明快な答えのように感じます。「卒業後の満足度」の高い学校を是非、志望校に組み込んでみてください。


志望校の決定は、お子さまの6年間を決めるとても大切なものです。お子さまが大学を卒業する10年後には大きく変質しているかもしれない「偏差値」だけをたよりにそれを決めてしまうのは、とても危険なことかもしれません。山脇学園の中田先生は「偏差値を唯一のものさしにしてしまうと、もしかしたらある意味で全員が負け組になってしまうこともありえます」と警鐘を鳴らします。偏差値や大学進学実績といった既存の価値観だけでなく、新たな視点を持って学校案内やホームページを眺めてみたり、学校説明会に参加してみるのも良いのではないでしょうか。



【今回ご協力いただいた学校】

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吉祥女子中学高等学校登校風景

吉祥女子中学高等学校
〒180-0002 東京都武蔵野市吉祥寺東町4-12-20
TEL(0422)22-8117~8
JR中央線・総武線・地下鉄東西線直通「西荻窪駅」下車、徒歩8分
入試日程 2月1日・2月2日・2月4日
募集定員 2月1日(114名)・2月2日(90名)・2月4日(30名)
試験科目 国語・算数(各100点・50分)、理科・社会(各70点・35分)


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山脇学園中学高等学校正門

山脇学園中学・高等学校
〒107-8371 東京都港区赤坂4-10-36
TEL(03)3585-3451
地下鉄「赤坂見附駅」下車、徒歩5分 地下鉄「永田町駅」下車、徒歩10分
入試日程 2月1日・2月2日・2月4日
募集定員 2月1日(100名)・2月2日(100名)・2月4日(40名)
試験科目 国語・算数(各100点・50分)、理科・社会(各60点・30分)

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