家族が未納の場合、私的扶養はどのくらい?
私的扶養の経済的な負担を考えてみましょう
はじめに、現在の高齢者世帯の支出の状況をみてみましょう。総務省の家計調査(2014年)によると、高齢夫婦無職世帯(夫が65歳以上、妻が60歳以上で夫婦のみの無職世帯)の1ヵ月の支出額は26万8,907円です。 公的年金がなかったら、誰かがその分を負担する必要があります。約20年間で必要な額は、平均で約6,500万円(=約27万円×12ヵ月×20年)になります。親が高齢無職世帯の平均的な貯蓄額2,372万円(総務省「2014年家計調査より」)を保有していたとしても、私的扶養により4,000万円以上の支えが必要な試算となります。さらに結婚相手も保険料を未納しており、今後も未納を続けてしまうとすれば、ダブルで準備が必要になってしまうので、大変なことになってしまうでしょう。
もし、この両親が国民年金に40年間加入して保険料を納付していれば、2015年度の老齢基礎年金の支給額は780,100円(満額)なので、夫婦2人で1ヵ月約13万円の年金を受給することができます。20年間で月額13万円×12ヵ月×20年=3,120万円の収入になり、私的扶養の部分もずっと少なくなります。公的年金があることで子どもの経済的な私的扶養の負担が軽くなります。また、この例の結婚相手の女性も、現在30歳であれば、これから国民年金の保険料を納付すれば年金の受給資格を満たすことができます。
保険料を未納する理由として最も多いのは「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」というものですが、保険料の負担が経済的に厳しい場合は保険料の免除制度や納付猶予制度を利用することができます。保険料の免除を受けた期間はその後保険料を納付しなくても免除の種類ごとに一定割合が年金額に反映されます。納付猶予を受けた期間はその後保険料を納付しないと年金額には反映されませんが、受給資格に合算することはできます。
また、どちらの制度を利用しても10年以内であればさかのぼって保険料を納付することができます(保険料の免除制度については「年金の免除制度について正しく知ろう!」をご覧ください)。保険料の免除や納付猶予は最長で2年前まで遡って申請することができます。経済的に保険料を納付することが厳しい場合は、免除や納付猶予の手続きを行い、まずは将来の年金を確実に確保するようにしましょう。
※この記事は、掲載当初協賛を受けて制作したものです。
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