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強くて怖いだけじゃない 遠藤憲一が演じた人たち(2ページ目)

何本ものドラマに登場しながら、すべての作品で圧倒的な存在感を見せる遠藤憲一。どんな風に演じてきたのでしょう。

竹本 道子

執筆者:竹本 道子

ドラマガイド

近寄りがたい人間の愛しい人生を表現する

個性的すぎる登場人物がギラギラするなか、『池袋ウエストゲートパーク』で演じたインテリヤクザのオーラは随一でした。車に乗る、椅子に座る、それだけて空気がピンと張りつめました。

足を洗った元殺し屋役で主演した『湯けむりスナイパー』では、人の優しさに涙する人情味を言葉ではなく背中で演じました。

先日最終回を迎えた『ヤメゴク』では、暴力団の組長である橘勲を演じました。小ネタ満載の堤ワールドに動じることなく、義理人情の重々しい極道ドラマを完璧に演じ、「親父い」「子どもたちを守るのが親だ」といった緊張感あるVシネマ的世界を確立しました。

遠藤憲一が演じる強面はテカテカしていません。肩で風も切りません。悪いヤツを安っぽさなく演じる貴重な俳優と言えます。白いネクタイに白いスーツがまったく浮かないのもさすが、ここぞという時の啖呵の斬り方もさすが、橘勲の存在に深みを与えたと言えます。

ぶれない正義感をまっとうするカタチも様々に演じる刑事役

『ストロベリーナイト』で演じた刑事の日下守は勘に頼ることなく、事件を徹底的に客観視します。細かすぎてめんどくさいものの、常に冷静な姿勢を貫きます。

『BORDER-警視庁捜査1課殺人犯捜査第四係』では部下を信頼して見守る器の大きなベテラン刑事を演じました。

『家族狩り』で演じた馬見原光毅は、現場で孤立し迷いと葛藤のなか捜査を続けています。最終回、正当性を声高に主張する犯人に対し、恐怖と諦めで泣き叫ぶしかできない場面では、観ているこちらまで引きずられそうになりました。そこで馬見原が吐き出した言葉「気取ってんじぇねえぞ」にハッとしたことを覚えています。異常な空気のなか、引き込まれることなく自分のエネルギーを維持した遠藤憲一の凄さに改めて感動しました。


台詞がどうの、表情がどうのを越えたところに、遠藤憲一の巧さがあります。コメディからシリアスまで、あらゆるジャンルの作品に溶け込みます。ゴツゴツやギラギラをコントロールしながら、出ずぎることなく個性をキラリと光らせるところに快進撃の理由を感じます。

7月には池井戸潤 原作の『民王』(毎週金曜 23時15分~/テレビ朝日系列)が始まります。内閣総理大臣である父親(遠藤憲一)と大学生の息子(菅田将暉)の心とカラダが入れ替わってしまう、ありそうでなかった物語。遠藤憲一の快進撃は、まだまだ続きそうです。
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