音楽劇『ライムライト』
吉野圭吾さんにインタビュー！
(撮影：演劇ガイド 上村由紀子)
演劇ガイド・上村由紀子が”今、会いたい舞台人”にインタビューする【演劇cafe】。 第14弾は吉野圭吾さんです。7月5日にシアタークリエで開幕する音楽劇『ライムライト』では、石丸幹二さん演じる老いた道化師・カルヴェロの理解者であり、劇場の支配人でもあるポスタント氏を演じる吉野さんに、作品のことや劇団時代のお話、今後挑戦したい役など伺って来ました！まさか目指すキャラクターが”アレ”だったとは!?
――『ライムライト』のお稽古も佳境かと思います。お稽古場の状況を教えて頂けますか？
吉野
丁寧に丁寧に作っている所です。まだ一気に通すということはしておらず、一場ずつ繰り返している状況でしょうか。とても繊細な稽古ですね。（注：取材時）
――吉野さんが演じられるポスタント氏は登場人物の中でも”大人”として全体を見ている人物だと思いました。
吉野
演出の荻田先生ともお話したのですが、僕が演じるポスタントは石丸さんが演じるカルヴェロと過去に同じ舞台に立っていた戦友という位置付けなんですね。昔はカルヴェロが芸を見せる前に彼の為に口上をしていた事もあって。ですからただの劇場支配人とか興行主とかそういう視点だけではなく、どこか自分も”芸人”としてその場にいる……そんな佇まいを大切にしたいと思っています。
ポスタントはとても遊び心があって、粋な人ですよね。その辺りのキャラクター造形はチャップリンの映画『ライムライト』とは少し違うかもしれません。
(撮影：演劇ガイド 上村由紀子)
――カルヴェロ役の石丸幹二さんとは『レディ・ベス』以来のご共演ですね。
吉野
石丸さんは役に対する情熱が凄い方だと思います。お稽古もお好きですし。
――劇団四季時代にご共演は？
吉野
劇団四季時代に同じ舞台に立たせて頂いたことはないのですが、稽古場のバーレッスンで僕の後ろに石丸さんがいらしたことがあるそうです(笑)。僕は前しか見ていなかったので記憶がないのが残念ですが、後で石丸さんから「あの時後ろにいたんだよ」と言って頂いて驚きました(笑)。
『ジキル＆ハイド』の時は親友役としてご一緒させて頂きました。今回の『ライムライト』では昔からの戦友という間柄ですので、その空気感を大切にしてそれをお見せできたらと思っています。
――吉野さんとポスタント氏とを繋げる”糸”はなんでしょう？
吉野
多分、ポスタントはとても器用な人だと思うんです。きっと早い段階で自分は芸人には向いていないとその道を見限って、皆をプロデュースする方向に転身していった。実は僕はどちらかというと不器用で、そこは彼とは違うなあ、と思います。そういう視点では表出するものに違いはありますが、初演からずっと演じさせて頂いている『モーツァルト!』のシカネーダーと共通項があるかもしれないですね。
『モーツァルト！』シカネーダー(写真提供:東宝演劇部)
――舞台上の吉野さんを拝見していると、それまでの舞台上の空気や色彩を変える力と勢いを持っていらっしゃるといつも思います。
吉野
”飛び道具”的な？(笑)。そういう役柄で出させて頂くことは多いですね。と言うことはそれがフィットしているということなのかな……(笑)。今回のポスタントも鮮やかに登場しますよ！
――本作『ライムライト』のキャッチコピーにもなっている「人生を恐れてはいけない。人生に必要なものは勇気と想像力と、そして少しのお金だ」という台詞がありますが、吉野さんにとって人生で必要なものとはなんでしょう？
吉野
人生に必要なもの……うーん、ちょっと難しい(笑)。でも「仕事」ですね。うん「仕事が必要だ！」(笑)。仕事をしている時の自分が一番イキイキしていると思いますし、仕事と真摯に向き合うことで後はついてくると思っています。
⇒ 次のページでは吉野さんの高校時代、そして劇団時代の驚きのエピソードをご紹介！
