お風呂の前後で飲み物をおすすめする理由
41℃、15分間の入浴で800mLもの水が体から抜けていく、という研究報告があるように、お風呂では思った以上に脱水状態になります。水が体から抜けていった結果、当然血液は粘り気が強くなり、血栓(血の塊)ができやすくなります。血栓が脳の血管に詰まると「脳梗塞」、心臓の周りの血管に詰まると「心筋梗塞」になります。いずれも命にもかかわることがある、重大な病気です。このような脱水を防ぐためにも、お風呂の前後には意識して十分な水分を摂る必要があります。
お風呂上りのビールは水分補給にならない
お風呂上りビールがなによりの楽しみ、という人もいることでしょう。その気持ちも大変よく分かりますが、ビールだけではお風呂での脱水の改善にはなりません。ビールなどのアルコール類は利尿作用があり、飲んだ以上に水分が尿に出てしまうため、結果として逆に脱水が強くなります。もちろんお風呂上りにビールを飲んではいけないということではありませんが、脱水を改善するにはそれ以上に追加して水を飲むなど、意識してアルコール飲料以外で水分を摂る必要があるでしょう。
お風呂の前に緑茶を飲むとキレイになる!?
お風呂の前後には緑茶がお勧め
よく知られているように、緑茶はカロリーゼロですし、成分として健康や美容に役立つカテキンを含んでいます。茶カテキンはお茶に独特の苦味や渋味を与えているポリフェノールの一種で、脂肪消費作用やアンチエイジング作用(抗酸化作用)など、美容が気になる人にとっては嬉しい作用があるのです。
しかし、カテキンは通常では体内に吸収されにくいという特徴もあります。
なぜお風呂の前に緑茶なのか?
実はお風呂の前に緑茶を飲むと、カテキンの吸収がよくなる可能性があります。私たちの研究グループは以前、静岡の温泉で静岡産の「やぶきた茶」を使い研究をしました。緑茶を飲んだ後に温泉に入る場合と、緑茶を飲んでそのまま室内で過ごす場合を比較した結果、緑茶を飲んで温泉に入った場合の方が血液中のカテキンの濃度が濃くなっていたのです。
温泉による温熱効果で体の血流がよくなり、カテキンの吸収も向上したのではと推測しています。このようなことから、効率よくカテキンを体内に取り込むことを考えると、お風呂に入る前に、水分補給の意味も含めて湯のみ1~2杯程度の緑茶を飲むのがよいでしょう。
自分で淹れる場合は数分煮出して、かなり濃い状態のお茶にするとカテキンがたっぷり含まれます。面倒なら高濃度カテキンを含むタイプのペットボトル入りのお茶を飲むのもお手軽です。温泉旅館に行くと、たいてい客間にお茶の準備がされていますが、温泉の前にお茶を一服することは、これも理に適っていると言えるでしょう。
お風呂から出たらさらに1~2杯の緑茶を追加して飲み、最低でも合計500mL程度水分を補給すれば、かなり脱水は防げるでしょう。脱水予防に加えて美容の効果も狙えるので、お風呂前後にはぜひ緑茶を飲みましょう!