年間離職率が70%超えの職場。えっ?!何で無いの?

前回の記事『飲食店の外国人アルバイト雇用、成功事例とは?』では飲食店について執筆しましたが、今回は工場編について書きたいと思います。以前のことですが、ガイドは依頼をいただいてとある工場へ向かいました。依頼内容は「離職を止めて欲しい」とのことです。

まずは離職率や採用募集費、人材派遣企業への支払額-通常の人件費などのデータを拝見しました。驚かれる方もいらっしゃるかと思いますが、年間離職率は70%を超えていました。1年間で100名を採用したとして、70名が退職してしまう数値です。これは工場長としては頭が痛いでしょう。

人材定着化が安定しないことで様々な「疲労」が蓄積されていきます

  1. 教育ができる社員の時間外労働が増える
  2. 教えてもすぐに辞めてしまうという教える側のモチベーション低下
  3. 技術熟練度が上がらないことに加え、経験値の低さによるミスが増え、製造原価が上がってしまう
などなどありますが、何といっても従業員の「無気力化」は非常に問題となっていました。

こんな時、ガイドは「喫煙所トーク」を大切にしています。普段は吸わないタバコをふかしながら、従業員の「本音」を徐々に引き出していきます。作業を一緒にして汗を拭きながら、色々インタビューをしていた時にびっくりする一言が出ました。

「ウチはトイレットペーパーの設定がないんです」

諦めからの出発

理由を工場長に確認すると、「セットしてもすぐに盗まれてしまうんですよ」。犯人はだいたい見当が付いています、とのこと。我々は刑事ではないんだがな、と思いながら聞いていると外国人の方ばかり。

なぜか、という問い掛けの返答は「そういうものなんでしょう」の一言。色々な気持ちが寂しくなりました。

「工場長、6~9か月間辛抱できますか?」の一言で改善(要所は改革)が始まりました。

理想と現実のギャップ

派遣社員の80%以上が1か月以内に出社しなくなる理由を調査してみました。すると「満足な指導を受けないまま1パートを任されることが苦痛」が一番の理由でした。

現実はリーダー社員がここまで情熱を傾けているのに、どうして?リーダーの眼からキラリと涙がこぼれました。

特に外国人の方の離職が多く、仕組みやルール構築の前にやはりコミュニケーションの取り方について議論することにしました。

異文化間コミュニケーションギャップの埋め方

心を開くのは組織・上司・先輩からがやはり一番です。各母国語の片言【挨拶・有難う】から始まり、文化や習慣、宗教のことなど「日本人・上司・先輩」が勉強会を開催しました。そのことを外国人従業員との会話で活用したりすると、工場内で笑い声が響くようになってきました。

次の一歩はチームで後押しをします。インターネットの翻訳機能を使って、「一緒に飲みに行こう」「週末にカラオケに行くけど、どう?」を表現すると、ゲラゲラ笑い始めます。たぶん文法などが間違っているのでしょう。それでも全員が笑いに包まれます。

すると、「日本人はなぜ梅干し・納豆を食べるのか」というベタではありますが、質問が出てきます。こうなったらシメタものです。お互いがシーソーの原理で「相手を楽しませるには」を考え始めました。

人材は環境で変わる

全員が忙しい中、6か月間で300を超える仕組みやルールをつくりました。加えて各母国語の翻訳を有志で行いました。まさに「手弁当」です。ある日本人社員 が「くさや」を持参してきて、ラオス出身のAさんが罰ゲーム。でも食べてみたら「旨い!」。ワイガヤでやれる環境にストレスはありませんでした。

このようにお互いを知る活動をして4か月目には、トイレットペーパー盗難件数がゼロへ。しかもうれしい昇華がありました。

芯だけ残る ⇒ 次の人の為にセット ⇒ 芯をゴミ箱へ ⇒ 小さな造花が置かれる

と進化しました。これにはガイドも感動しました。組織からの強制は一切ありません。すると備品購入を経費化して良い、との工場長判断が出ます。ガイドの改善・改革請負が完了した瞬間でした。

いかがでしたでしょうか。9か月後の月間離職率は8%。ある意味当然の結果でした。やはりいろいろな「壁」を作ることはナンセンスと言って良いですね。