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国民健康保険の税制度、どう見直されたか

日本の医療保険制度は、すべての人が何らかの公的医療保険に加入しお互いの医療費を支え合う「国民皆保険制度」が基本となっています。私たちは病気やケガをしたとき、経済的な心配をせずに治療を受けることができます。そんな医療保険のひとつである「国民健康保険」の税制度が、平成27年4月1日から見直されました。くわしくみてみましょう。

井戸 美枝

執筆者:井戸 美枝

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国民健康保険とは?

今では当たり前となった医療保険制度ですが、1955年頃まで農家や自営業者を中心に国民の約3分の1に当たる約3000万人が無保険者でした。

1958年に国民健康保険法が制定され、1961年に全国の市町村で国民健康保険事業が始まり「誰でも」「どこでも」「いつでも」保険医療を受けられる体制が確立しました。

現在、国内に住所がある人は、年齢や国籍(外国籍の人は在留期間が1年以上と決定された場合)に関係なく必ず何かの健康保険に加入しなくてはなりません。次の要件のうち、どれにもあてはまらない人が「国民健康保険」に加入することになります。

1. 勤務先で健康保険に加入している人とその扶養家族(任意継続含む)
2. 船員保険に加入している人とその扶養家族
3. 国民健康保険組合に加入している人とその世帯家族
4. 75歳以上の人(後期高齢者医療制度の対象者)
5. 生活保護を受けている人


短時間の仕事をしている(1週間の労働時間が30時間未満)の人や、従業員を雇っていない個人事業主(自営業者)で上記1~5に該当しない人も、国民健康保険へ加入します。

人口のおよそ27.5%が市町村の国民健康保険への加入者、2.5%が国民健康保険組合の加入者です。

平成27年6月現在、国民健康保険は各市区町村が運営しており、加入や脱退などの手続きは住所登録のある市区町村役場で行います(運営を市町村から都道府県に移す法案が審議されています)。

どのように見直されたか?

平成27年4月1日から見直された内容は次の2つ、「課税される限度額」と「保険税軽減範囲」です。

課税限度額の改正

国民健康保険税の「医療給付費課税額」に係る課税限度額を52万円(改正前51万円)に、「後期高齢者支援金課税額」に係る課税限度額を17万円(改正前16万円)に引き上げられました。

40歳以上65歳未満の被保険者に課税される「介護納付金課税額」の限度額も16万円(改正前14万円)に引き上げられています。

課税限度額の改正

課税限度額の改正















保険税軽減範囲の改正

低中所得者に対する保険税軽減措置も見直されました。
物価の上昇などの影響で、これまでの軽減対象者が対象から外れてしまわないよう、経済動向をふまえ、国民健康保険税の5割軽減/2割軽減の対象となる世帯の軽減判定所得が引上げられました。

保険税軽減範囲の改正

保険税軽減範囲の改正

















軽減判定所得には、被保険者全員の所得に加えて、国民健康保険に加入していない世帯主の所得も含まれます。前述の通り、国民健康保険は市区町村ごとに運営されているため、保険料の計算方法が多少異なります。図は、東京都特別区の場合です。

国民健康保険は、保険料の収入が減っていく一方で、医療費は増え続け、慢性的な赤字体質が続いています。現在の社会にあったかたちに制度を変えていくことはもちろん、私たち一人ひとりが健康への意識を高め医療費を節約していくことも重要なのではないでしょうか。
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