投資家保護を目的としたJ-SOX法と内部統制
まずはじめに内部統制とは何か、から。内部統制は英語Internal Controlの訳であり、まさしく組織内部のコントロールのことを表現しています。これをあえて意訳するなら、「企業活動において、財務処理上の健全性を確保するための監理」ということになるでしょう。内部統制の必要性がクローズアップされたのは、米国で01~02年に相次いで起きた巨額企業不祥事が発端でした。それは具体的には、エンロン、ワールドコムという米国を代表する大企業を巡り巨額粉飾事件が発生し、その倒産によって個人投資家を含む多くの投資家が大きな損害を被ったという事件です。これを重大視したアメリカ政府は、投資家保護の観点から粉飾をさせないという財務報告に関する内部統制システム構築を義務づける法を施行しました。これが、02年施行のサーベンス・オクスリー法、通称SOX法と呼ばれるものです。
在庫管理も内部統制における重要プロセスのひとつ
日本においても、米SOX法の成立を受けて株式市場の国際化などを勘案せざるを得ず同様のものの義務化が始まります。06年の会社法施行に伴い大会社、委員会設置会社に日本独自基準での内部統制システムの構築が義務づけられ、08年度から実際に運用されるに至りました。これがいわゆる、日本版SOX法(以下J-SOX法)と呼ばれるものです 。