先発完投か継投策か
『花燃ゆ』の問題として最近よくいわれているのは、複数脚本家の起用によるちくはぐさ。これまでの大河ドラマは中心になって書く脚本家は一人。一人で書ききるか、それでは大変なのでメイン一人に、サポートとして二人目三人目が入るという体制でした。『花燃ゆ』の場合は当初から、『1リットルの涙』などの大島里美と『甘辛しゃん』などの宮村優子の二人体制です。担当する回数はこれまでのところほぼ同じのWメイン。連絡が悪いのか子役(山田萌々香)が演じていた文は論語を諳んじる才女だったのに、井上真央が演じるようになるとすっかり普通になるなどキャラぶれが見受けられました。
さらに低視聴率のテコ入れのためか、第18回『龍馬!登場』から、三人目として『第二楽章』『芙蓉の人』などの金子ありさが加入。
登場した坂本龍馬(伊原剛志)は史実では江戸で久坂玄瑞(東出昌大)と出会い、それで萩にきたはず。しかしドラマ中では久坂玄瑞が江戸にいなかったことになっているため、文と龍馬の会話がちぐはぐだったことが指摘されています。
原作があればそれを骨として不整合も少ないはずですが、2010年の『龍馬伝』以降6作、原作なしのオリジナル企画が続いています。こちらも女性向けの大河ドラマを作りたいけど、適当な原作が不足しているのが原因でしょう。
朝ドラをやって大河ドラマを
また脚本家の起用でも、朝ドラの数年後に大河ドラマ、というパターンが増えています。朝ドラから大河ドラマの脚本
このパターンが多い理由は
- 朝ドラをヒットさせれば女性向けの大河ドラマも書ける
- 放送時間がだいたい同じ(15分×週6回×半年の朝ドラと45分×一年の大河)なので、長丁場をまかせられる
こういう場合はNHK側スタッフが司令塔として指示やチェックすることが必要ですが、制作体制もうまくいってないのでしょう。『花燃ゆ』の混迷は深そうです。