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疲労を残さないために知っておくべき医学知識

現代人のほとんどが抱える「疲労」の問題。そのため世の中にはさまざまな疲労回復の情報がありますが、実は体のどこが疲労しているかで対策方法は変わってきます。休んだ方がよいのか動いた方がよいのか、どのように判断すべきかを解説します。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

疲労は「体の警告」のひとつ

疲労感

日々の活動が積み重なり、急に疲れをドッと感じてしまう日があります。疲労は体の警告のひとつ。本来は無視して良いものではありません。

疲労は「体の警告」のひとつ。体に負荷がかかっているときは、それに対して体を正常に保とうとするシステムが働くことでその負荷を軽減しています。疲労はそのシステムが作動しにくくなり、作業効率が低下したときに起こるのです。

では、体の警告を無視するとどうなるのでしょうか?

同じ作業をし続けるということは、供給する酸素とエネルギーを消費するということです。際限なく使い続ければ、最終的にはエネルギーが不足し、細胞内で餓死状態が生じてしまいます。また、細胞が働くためには老廃物の排出も必要です。これも細胞を痛める原因となります。

つまり、疲労感としての体の警告は、このままだと細胞が死んでしまい、しいては全体が危なくなるので「休め」ということです。

では、どのように休んだらよいのでしょうか?それを解決するには、疲労感についてより詳しく知る必要があります。

疲労は体のどこで感じている?

私たちは体のどこで疲労を感じているのでしょうか?

実は疲労感は、主に脳で感じる場合と脳以外の体、特に筋肉で感じる場合があります。

脳が感じる疲労には、脳内のセロトニンという物質が関わっていたり、作業の複雑化、記憶の連続等で脳の調整能力が低下することで起こると言われています。

一方、筋肉で感じる疲労は、筋肉がエネルギーを消費し、老廃物として乳酸が発生した結果起こります。乳酸は肩こりなどの痛みの原因と考えられており、疲労物質と呼ばれています。

適切な疲労回復のためには、このふたつの疲労にあわせて対策をする必要があるのです。以下で具体的な方法を見ていきましょう。

ふたつの疲労にあわせた回復方法

■エネルギー不足に対して
体の場合は休息、脳の場合はなら睡眠が必要です。これらは消費されるエネルギーを減らすことになります。特に、ノンレム睡眠と呼ばれる睡眠が脳の休息には効果的です。
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また、規則正しいバランスの良い食事が大切。エネルギーの源は食事です。食事時間が不規則になると、体は常にエネルギーを溜めておかなればならなくなります。そのエネルギーを溜めておくのが脂肪やグリコーゲンと呼ばれる成分です。また、不規則であるがために、体の緊張が続いている状態になってしまいます。

■老廃物に対して

運動

適度な運動が必要です

休息することで作業が減り、老廃物が減少して、何よりの疲労回復になります。しかし、寝て、食べての状態だけが休息というわけではありません。筋肉は第二の心臓とも言われ、血液を流す役割をもっています。体の主な臓器はすべて血液から栄養と酸素を得ているため、積極的に筋肉を動かし血行をよくすることで、老廃物の減少を促すことができるのです。

デスクワークなどでそんなに動いていないのに疲労を感じることはありませんか?

これは、同じ姿勢を保つときにも筋肉は収縮しているので、乳酸は発生することが原因です。デスクワークなどで体を動かさないでいると、血行が良くならず、乳酸がなかなか洗い流せない状況になってしまいます。

つまり逆を言えば、身体を動かすこと、筋肉を動かすことで、乳酸などの疲労物質が体から減っていくということです。さらに、普段から身体を動かすことで代謝もよくなります。代謝がよくなれば、老廃物も少なくなります。

運動を行うとはじめは疲労がありますが、継続すると体力がつき、疲労に対する抵抗力がでます。

疲労回復法は、言うは易し行うは難しかもしれませんが、
  • 規則正しいバランスの良い食事
  • 嗜好品はほどほどに
  • 継続的な運動
  • 良い睡眠
を心がけ、疲れたら適度に身体を動かして、「休息」することが必要なのです。


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