筆者が担当した授業内での調査において、大学ソフトボール授業で受講生が難しいと感じる場面は攻守を問わず「動いているボールに対する技術」(捕球やバッティング)であることを示してきました。

そこで、筆者の授業では動くボールに目を慣らすことと、捕球の基本を体得させることを主なねらいとしたオリジナルのボールドリルを実践しています。ボールドリルはグローブをはめずに行う練習法で、飛球に目を慣れさせるための指導プログラムとして実施しています。

「飛球に目を慣らす」ことや、「正確なグラブの向きの体得」のために行っているドリルを以下にご紹介します。全てのボールドリルは2人組み(以下A、Bと記す)で行実施します。


【Aドリル】:一回転キャッチ

Aドリル

Aドリル

AとBの距離は4~5メートル。AはBに対して背中を向けて立つ。Bは「ボール!」の掛け声とともにボールをAにトスする。Aは掛け声が聞こえたら素早く方向転換し飛球してくるボールをグラブをはめる方の手(片手)でキャッチする。

<練習法のアレンジ>

1)掛け声を「右!」あるいは「左!」とし、回転する方向も指示してみる。
2)ボールスピードに緩急を加えてみる。
3)ボールの高さを投げ分けてみる。
4)ボールに書かれた文字や記号を読み上げながら捕球させてみる。


【Bドリル】:フライの捕球

AとBの距離は4~5メートル。AとBは向かい合う。Bが軽めのフライをトスする。Aは半身になってフライを追いキャッチする。特に、片足を引いて半身になり、後方のフライの場合は落下点まで半身の体勢で追う、また、前方へのフライの場合は、一度片足を引き半身になった状態から前進するという一連の動きを体得する。

<練習法のアレンジ>

1)前進して捕球するフライも織り交ぜてみる。
2)フライの高さに変化をつけてみる。(素手で捕球できる程度の高さで)
3)ボールに書かれた文字や記号を読み上げながら捕球させてみる。


【Cドリル】:球ぎわのドリル

Cドリル

Cドリル

AとBの距離は2~3メートル。両膝を地面に立てた状態でAとBは向かい合う。BはAに対して軽くボールをトスする。その際、Aの身体の正面(前方)、頭上、左右、身体の後方において最大限に腕を伸ばした状態でなければキャッチできないボールをトスする。自分の身体に対する捕球可能な範囲、いわゆる“球ぎわ”を実感する。

<練習法のアレンジ>

1)テンポよくスピーディーに行う。


【Dドリル】:相手の動きに合わせる

Dドリル

Dドリル

AとBの距離は4~5メートル。AとBは移動(並走あるいは並歩)しながら、ボールをお互いにトスし合う。動きに応じた送球や捕球動作を体得する。

<練習法のアレンジ>
1)並走・並歩のスピードをアップしてみる。
2)パートナーとの距離を延長してみる。

 

 

ボールドリル指導上の留意点

ボールドリルの実施後に、受講学生に調査を実施したところ、【Aドリル】において、男子に比べ女子のほうが「難しい」と感じている傾向が顕著に見られました。同様に、【Dドリル】においても、女子のほうが自覚的な運動強度を高く感じている傾向が顕著でした。

また、ベースボール型スポーツ(野球・ソフトボール)の経験有無別に回答値を分析したところ、【Aドリル】、【Bドリル】、【Dドリル】において、ベースボール型スポーツ未経験者の方が「楽しい」と感じている傾向が統計学的にも有意に高い傾向が見られました。

こうしたことから、特に男女共修でソフトボール初心者を指導する際には、対象者の性差やベースボール型スポーツの経験値を踏まえた指導プログラムの構築が重要であると思われます。



参考文献:
北徹朗(2007)大学ソフトボール授業におけるボールドリルの実践,大学体育No.90, pp.77-80
北徹朗・森正明(2014)大学ソフトボール授業におけるティーチングティップス,体育・スポーツ教育研究第15巻第1号,pp.65-68

 


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