スーリ:『美しい音楽とシュールレアリスム』
乃木坂の国立新美術館で人気沸騰中の『マグリット展』(~6/29)。彼が描く不思議な世界にも、音符や楽器などがよく登場しますね。これは、当の展覧会の音声ガイドにも抜粋収録されている1枚……マグリットと同時代のベルギー人作曲家で、画家当人と一緒に活動していた時期もあるアンドレ・スーリの小品集。どこかサティに似た、ひねりの効いた曲題やシンプルな音使いがたまらなく愛おしい作風!いろいろな楽器が出てくるのも魅力です。
■ガイド大塚の感想
サティ? フランク・ザッパ? トイ・ミュージック? といった感じのキッチュな「オルガンのための三つのアンヴァンシオン」が最高。シュールレアリスムといっても自動記述で書かれた作品があるわけではなく、夢の世界のような何かちょっと違う世界を紡いでいく。アルフレッド・ジャリの演劇のような歌(?)ものも面白い。何より演奏に愛が満ちているのが素晴らしい。
セル(指揮) セル・コンダクツ・ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
セルが名門コンセルトヘボウ管の真の価値を引き出したデッカ&フィリップス録音全てをCD3枚に集成! 中でも1964年録音のシベリウスの交響曲第2番、1966年録音のベートーヴェンの同第5番は絶品。1951年、同オケとの初録音となった2曲(Deccaレーベル)も収録した3枚組。192kHz,24bitでデジタル化した音源をCDマスターに使用。
■ガイド大塚の感想
セルのオーケストラを精緻に鳴らせる手腕はここでも流石で、更にロイヤル・コンセルトヘボウの美しさがとにかく際立つ。モーツァルトの上品に引き締まった音楽からふとこぼれる甘美さなど絶品。運命の解釈も今日的だし、シベリウス(特に3楽章冒頭)のタイトな弦に乗って歌う木管の優美な音色はこのコンビならではの幸せな音楽だ。
タワーレコード
コルボ(指揮) J.S.バッハ:ヨハネ受難曲
今年のラ・フォル・ジュルネで、コルボとローザンヌ声楽・器楽アンサブルが東京で行った唯一のコンサートの公演曲目。1977年に録音したこの曲を代表する名盤で、ERATOレーベルの名録音のひとつとしても名高い演奏です。タワーレコード企画盤として他の2種と共に今回復刻しました。歌詞対訳付。
■ガイド大塚の感想
文句なしの名盤。荘厳な美しさを湛え、押し付けがましさやおどろおどろしさもなし。古楽演奏にありがちな軽さ、速さもなく、ただただ心に染み入る演奏。それにしても77年とは思えない録音の良さも特筆すべき点。
タワーレコード
ということで、交響曲から声楽曲、再発ものまで注目の新譜を紹介しました。気になったものを聴いていただけたら幸いです。