キース・ジャレット(ピアノ) バーバー:ピアノ協奏曲、バルトーク:ピアノ協奏曲 第3番、他
バーバーとバルトークのピアノ協奏曲をライヴ録音したキース・ジャレットのクラシック・アルバム。バルトークは1985年の東京公演を収録したもので、秋山和慶指揮、新日本フィルが伴奏を務めています。キースの鬼気迫るソロに、オーケストラもぐいぐい引き込まれていく様子が伝わってきます。
■ガイド大塚の感想
2曲とも20世紀のアメリカで生まれ、ジャズのイディオムも入った、正にキース・ジャレット向きの曲で、クールさと叙情性にしびれる秀演。クラシック的な部分とジャズ的な部分、更にその間の部分が巧みに切り替わり、特にやはりリズムのキレとグルーヴ感はクラシックのピアニストにはないもので、こんな演奏が眠っていたことに驚かされる。最後に収められた東京公演での即興のアンコールも孤高のピアニズムに惚れ惚れ。
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マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)&フレンズ 『ルガーノ・フェスティヴァル・ライヴ2014』
アルゲリッチらと若手のソリストたちが、世界的に有名なアーティストと組んでクラシックのレパートリーを追及するプロジェクト。アルゲリッチ自身が演奏しているものは3回目の録音となる「モーツァルト:ピアノ協奏曲20番」, マイスキーとの「魔笛の変奏曲」, プーランク:「4手のためのピアノ・ソナタ」, そして、クレーメルとの「ヴァインベルク:ヴァイオリン・ソナタ」など、アルゲリッチ・ファンには垂涎の内容! それだけではなく、ブゾーニ編2台ピアノ8手版の「メンデルスゾーン:交響曲1番」などなど、珍しい作品まで盛りだくさんの内容となっています。
■ガイド大塚の感想
プーランクでの、生き生きしたリズムといたずらっぽさ。アルゲリッチは健在だ。たっぷりとしたマイスキーとのデュオも変わらぬ仲の良さ、相性の良さが感じられる好演。アルゲリッチ以外では、ゴーティエ・カピュソン(チェロ)のプーランクとブリッジのソナタがバランスの良さと美音で豊か。
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クレーメル(ヴァイオリン) 『新しい四季』
異例の大ヒット・アルバム「エイト・シーズンズ」でピアソラ・ブームを牽引したクレーメルが、またひとつ新しい『四季』を新録音! フィリップ・グラスのヴァイオリン協奏曲第2番『アメリカの四季』をメインに、クレーメルと非常に関係の深いペルト、カンチェリの作品と、日本の映画音楽作曲家 梅林茂の映画『夢二』のテーマを併録しています。今年10月にクレーメルはグラスの『アメリカの四季』、ピアソラ:ブエノスアイレスの四季、他の演目で来日ツアーを行う予定です。こちらもご期待ください。
■ガイド大塚の感想
グラスらしい、主体と客体が入れ替え可能のような各要素の定義が自由になる楽曲。思いがけぬロマン的なテンポの変化やフレーズ、強弱があり、クレーメルとクレメラータ・バルティカはクールな構造と叙情をバランス良く聴かせる。
庄司紗矢香(ヴァイオリン)、ジャンルカ・カシオーリ(ピアノ) ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第5、6『春』&10番
2009年12月録音の第2番・第9番から始まった庄司紗矢香&カシオーリのベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全曲録音が遂に完結しました。共演を重ね、更に絶妙なアンサンブルに磨きをかけた両者による集大成となる今作は、穏和な気品漂う第6番、人気作第5番『春』、そして、唯一の円熟期の作品で充実した筆致の第10番の3曲を収録しています。
■ガイド大塚の感想
気負いが全くなく、リラックスして演奏される自然体の音楽。特に『春』は表現やテンポも自由度が高く、逆にアンサンブルが難しくなりそうだが、永らくコンビを組む二人だけに、完璧に合わせていて見事。そう、カシオーリの瑞々しく幻想的で包括的なピアノが心地良く、その優しさに庄司の穏やかなヴァイオリンが寄り添い、溶け合う。朝に済んだ水を飲むような、自然で飾らず、健康的なベートーヴェン。
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