【写真1】は「ゼロエミッションハウス」の外観。これは2008年に開催された洞爺湖サミットの会場で公開された建物です。「あしたの家」という名称が付けられ、いわば「少し先の未来のエコ住宅」という感じ。
ちょっと古い建物ですが、現在の「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」と比べても、高い省エネルギー性能を実現しているのが特徴です。
最新の家庭用蓄電池なども導入され、最新のスマートハウスの仕組みや、健康・快適に暮らすための工夫などについても紹介されています。
【写真2】は建物内部の様子。高齢でも長く住宅に住み続けられるようにするパーソナルモビリティー「UNI-CUB」(HONDA製)の体験試乗もここでできます。
【写真3】は「サステナブルデザイン ラボラトリー」の外観。積水ハウスが2005年に「環境未来宣言」を行った際、それを具現化したもので、「風の家」と名付けられています。
通風や採光を工夫することで、エアコンなどに頼らずどこまで快適な住空間とすることができるか、東京都国立市の住宅街の中に建てられ、研究や実証実験を行ってきた建物です。
この建物は、木造のように見えますが重量鉄骨造です。【写真4】は建物内部の様子ですが、このように内装材に木質建材を多用すると、まるで構造材が何かわからなくなってしまいますね。
【写真5】は「観環居」の外観。2010年に横浜市で開催されたAPECの際に公開された建物。こちらは木造住宅「シャーウッド」で建てられており、「木の家」と名付けられています。
通信技術などの研究・実証実験などに役立てられてきたもので、ここではエネルギーの管理だけでなく地域とのつながりなど情報の窓口としての「HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)」の可能性などが紹介されています。
このほか電気自動車との電力連携システム「V2H」(ヴィークル・トゥ・ホーム)、積水ハウスが近年力を入れている「スローリビング」の事例も確認することができます。
これらの建物は全て移築されたもの。そして、その建物が囲むように配置されているのが、「生きものの庭」(【写真6】)です。これは「五本の樹木」計画という、積水ハウスが2001年から展開している生態系保全の取り組みを再現したものです。
「里山」を手本に地域に自生する木や植物を植えた庭で、ビオトープも配置されています。このような取り組みをすることで、鳥や昆虫などが戻ってくるといいます。
資源循環センターは、2001年にスタートした住宅建設の全プロセスでのゼロエミッションの要となる拠点です。「資源の泉」と呼ばれています。
【写真7】はその内部の様子。新築住宅の建築現場で発生した廃棄物はもちろん、建て替えやリフォームで発生した廃棄物についても、施工現場で分別収集され、ここでリサイクルやリユースのための処理が行われます。
いくら新しい住まいが環境に優しい住宅であっても、それを建てるために環境に悪影響を与えるようだったらそれは残念なこと。これからの住まいづくりは、単に建物だけでなく、その背後にある取り組みまで考えるべきということが、ここで確認できます。
ところで、住まいづくりは人それぞれ。資金や家族構成、どんな住まい方をしたいかなどそれぞれに異なります。環境問題へのアプローチもそれぞれです。「エコ・ファースト パーク」は、そんな住まいづくりの世界で、「自分たちに何ができるか」を考えさせてくれる場所といえるのではないでしょうか。
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