「きょう学校どうだった?」と聞いていませんか?
学校での様子が知りたいのに……。
学校でどんなことがあったのか、どんなことでもいいから話してほしい。そんな気持ちから発する「きょう学校どうだった?」ですが、こんな答えが返ってきているのではないでしょうか。
「普通だよ」
「別になにも」
親は思います。そんなことはないはず。でも、子どもは、こんなふうに思っているのかもしれません。
「普通だよ(授業と休み時間と給食があったよ)」
「別になにも(変わったことはなかったよ。校舎も校庭も)」
そう。「学校どうだった?」というのは、子どもにとっては何を聞かれているのか、何を答えればいいのかよくわからない「範囲が広すぎる質問」なのです。「最近、どうよ?」という質問に近いかもしれません。「最近、どう?」と聞かれても、体調のことを聞かれているのか、仕事のことを聞かれているのか、趣味のことなのか、はたまた家族関係なのか、わかりませんよね。
「きょう学校どうだった?」「別に」というのは、「最近どう?」「まあまあかな」というやりとりと同じようなものなのです。
「忘れた」という答えが返ってきて「え、今日のことをもう忘れたの? そんなはずないでしょ!」と思うこともあるかもしれません。でもこれは、記憶障害などではなく「答えるのが面倒くさい」であることが多いようです。新しいことを日々習う学校。子ども同士の関係性も日々めまぐるしく変化しています。その中から、親が喜びそうな話題を見つけて、話して“あげる”のは、面倒くさいものなのです。
質問を使い分ける
質問をうまく使って、会話のはずむ食卓に
ではここで、子どもがもっと話したくなる「質問の仕方」をマスターしましょう。 私たちカウンセラーは、YesかNoで答えられる「クローズド・クエスチョン」と、答えを限定しない「オープン・クエスチョン」の、2つの質問を使いながら、相手の話を引き出していきます。
「きょう学校楽しかった?」は、クローズド・クエスチョン、
「きょう学校どうだった?」は、オープン・クエスチョン。
クローズド・クエスチョン(CQ)は、答えやすく、短時間で多くの情報を得ることができます。しかし、話が広がらず、会話がすぐに終わってしまうのが難点です。「学校楽しかった?」「楽しかったよ」「給食おいしかった?」「おいしかったよ」という感じですね。
一方、オープン・クエスチョン(OQ)は、うまく使うと、話題が展開していき、盛り上がります。しかし、範囲が広すぎると答えにくくなるので、場面を限定して、
「給食おいしかった?(CQ)」
「おいしかったよ」
「何がいちばんおいしかった?(OQ)」
「ハンバーグかなあ」
「おうちのハンバーグと違った?(CQ)」
「違ったよ」
「どんなふうに違った?(OQ)」
というふうに、クローズド・クエスチョンとオープン・クエスチョンを組み合わせると、色々な話が聞けるようになるでしょう。
気持ちに焦点を当てる
子どもの話を聞く時、その時どんな気持ちになったのかを聞くことを心がけましょう。「その時、どう思った?」とか「それを見て、どう感じた?」とか。そして、その気持ちをそのまま受け止めましょう。「楽しかったんだね!」とか「それは悲しいね……」とか。大げさなくらいでいいと思います。子どもが「気持ちをわかってくれた」と感じることができれば、色々話してくれるようになるでしょう。最も大切なのは、子どもの気持ちを「否定しない」ことです。たとえばお友達とケンカした時などに「殴ってやろうかと思った!」といったことが出てくることもあるかもしれません。その時に「そんなふうに思っちゃダメ!」などと返してしまうと、子どもは自分の気持ちを否定されたと感じて、話してくれなくなります。
「殴りたいほど腹が立ったんだね」と、気持ちは気持ちとして受け止めることが大切です。「殴ってやりたいくらい腹が立つ」のは、誰にでもあることで、その気持ち自体は良くも悪くもないからです。問題になるのは「行動」です。行動と気持ちは分けて考えるようにしましょう。「でも殴らなかったんだよね。どうして?」と、また気持ちを聞いてみると、子どもが日々考えていることが見えてくるかもしれません。
質問が与えるプレッシャーに注意する
親が何気なく投げかける質問の中に、子どもが「親の期待」を感じ取ってしまうことがあります。たとえば、「お友達できた?」とか「クラスの人たちと仲良くできてる?」といった質問に、「お友達はいなきゃいけない」とか「クラスの全員と仲良くしなければならない」というプレッシャーを感じてしまう子どももいます。お友達づくりに悩んでいる時期ならなおさらです。また「学校楽しかった?」という質問も「学校は楽しいもの」とか「学校が楽しかったと言えば、親は喜ぶ」というインプットになることがあります。
学校のことを話すのを嫌がるようであれば、「きょう一番楽しかったことと、一番つまらなかったことを教えて?」という質問に変えてもいいですね。せっかくですから、親も一緒に、自分の1日を振り返って、その時の気持ちを交えながら子どもに話してみましょう。親の話し方がお手本になり、話すことのハードルが下がってくることでしょう。
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