生まれ変わった上海の由緒正しい博物館
吹き抜けを大胆に使い、時空を超えた模型や化石が集合。 館内にはミニシアターもあり、恐竜や動物をテーマにした3D・4D映画を上映しています。
2015年4月、市内の中心エリアにある静安彫塑公園内に上海自然博物館がオープンしました。
上海の自然博物館は近代以降の中国で最も伝統のある博物館の一つ。前身は1868年にフランスの神父が設立した徐家匯博物院と1874年のイギリス人による亞州文会上海博物院。1956年に上海自然博物館として外灘の近くに開館し、今回59年ぶりの移転となりました。
建物は公園内に自生したマキガイをイメージ。太陽エネルギーを活用したエコ建築です(上海自然博物館提供)。
開館以来大変な人気で、一日の参観者が1万5,000人を超す日も! 平日でも午後は行列するため、混雑が落ち着くまではチケット売り場が開く8時55分までに訪れることをおすすめします。
入館料は30元。館内のミニシアターで上映される映画の鑑賞券は別料金です。
スケールの大きいハイテクな展示がお目見え
スロープ伝いに様々な角度から見ることができます。下の茶色い恐竜アルゼンチノサウルスの上半身が動きます(上海自然博物館提供)。
展示は2階から下の階へと参観する順路になっています。「起源の謎」、「進化の道」、「生態万象」など10テーマに分かれ、常設展示だけで約1万1,000点あります。
新しくなった博物館はダイナミックな展示スタイルのほか、最新技術を取り入れた展示が登場したことも話題です。なかでも巨大な恐竜や海の生物が一堂に集まったスペース「生命長河」は圧巻。驚くのは、一部の恐竜が動いたり雄叫びを上げたり(!)すること。エンタメ要素も満載なのです。
今にも動き出しそうな動物の展示が揃うアフリカコーナー。タグがついた展示品が混ざっていたりと、全体にちょっとしたツッコミどころがあるのもご愛嬌!?
無料の公式アプリも内容が充実。アプリは2種類あり、館内を詳細に説明したもののほか、現場で指定の標本をスキャンして動画効果を楽しめるといった機能を備えたタイプもあります。もちろん、館内はすべてWi-Fi完備です。
ハイテクな面だけでなく、生き物に触れられるコーナーや化石採掘などのワークショップも展開し、楽しみ方は多彩。
参観に来ている子どもたちがとても嬉しそうなのが印象的です。
中国大陸ならではの恐竜や動植物も必見!
2010年に山東省諸城市で化石が出土したシノケラトプス(諸城中国角龍)の模型。白亜紀後期の草食恐竜で、体長6~7メートル。
海外の自然や生態系の紹介も充実していますが、上海を訪れたからには中国ならではの展示は見逃せません。
巨大な恐竜の化石は子どもたちからも人気。
たとえば中国最古の恐竜といわれる雲南省のルーフェンゴサウルス(禄豊龍)、四川省沱江流域にいたとされる肩に棘を持つトゥオジャンゴサウルス(多棘沱江龍)、新疆で発見された五彩冠龍、重慶の大型肉食恐竜ヤンチュアノサウルス(上游永川龍)などなど、中国に生息していた恐竜の化石や模型が揃っています。さりげないところにも展示されているので、恐竜好きは隅々までチェック!
地下1階と地下2階の間の中地下2階には「上海故事」という上海に特化したコーナーがあります。上海の地質や生態系が詳しく紹介され、やや地味な一角ですが内容は充実しています。アナグマや黄鮟鱇、上海にも分布がみられる中国原産のシカ麋鹿(ミールー)といった生き物の剥製や模型が展示されています。
アザラシなど海の生き物のキュートな展示も。
そのほか、海の動物や魚類、植物、昆虫、鳥類も揃い、見応え十分。早足で回っても2時間くらいかかります。
館内にはレストランやカフェ、アイスクリーム販売コーナーのほか、ミュージアムショップが2ヵ所あります。中地下2階にある「1868カフェ」はオールド上海をイメージしたインテリアの中、恐竜を眺めながらコーヒーを味わえる休憩スポット。
子どもから大人まで楽しめる、生まれ変わった上海自然博物館。上海を初めて訪れる人にもリピーターにもおすすめの、新たな観光スポットです。
ミュージアムショップのぬいぐるみも大陸スケール!
■上海自然博物館
住所:静安区北京西路510号(静安彫塑公園内)
TEL:021-6862-2000
営業時間:9:00~17:15(チケット売り場は8:55~16:30) 月曜休
アクセス:地下鉄1号線「新閘路」駅、2号線「南京西路」駅より 徒歩13分 ※地下鉄13号線「自然博物館」駅も建設中