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投資資金の流出入から見る日本株ファンドの動き

日経平均株価は15年振りに2万円台を回復したように、国内株式を取り巻く環境は良好と考えられます。しかしながら、2015年4月の日本株ファンドの投資資金の動きなどを見ると、個人投資家の投資信託選択スタイルに変化の兆しが出ているように見受けられるのです。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

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インデックスファンドから資金が流出

日本株ファンドの動向

日本株ファンドの動向

個人投資家は逆張りスタイルの投資行動を取ると言われています。東京証券取引所が公表している「投資部門別売買代金差額」によれば、株価が上昇傾向の時には売り越しとなる反面、株価の下落局面(調整局面)では買い越しになる傾向が強いと言われています。

過去半年を振り返ると、2015年1月こそ買い越しとなっていますが、それ以外は全て売り越しとなっています。投資信託でも同様のことが言えます。過去半年、日本株式は調整らしい調整がなかったことから、個人投資家は大幅に売り越しており、調整を待ち構えているようです。事実、投資信託協会によれば、待機資金の受け皿であるMRF(マネー・リザーブ・ファンド)の同年2月末の残高は過去最高の11兆円強となっているのです。

投資部門別売買代金差額によれば、2015年4月も投資信託は日本株式を約1270億円も売り越していたようです。3ヵ月連続して1000億円以上の売り越しとなったのですが、主にインデックスファンドから資金流出している反面、新規設定されたアクティブ運用型のファンドには投資資金が流入しているのです。

資金流出しているインデックスファンドは、日経平均株価に連動するタイプでTOPIX(東証株価指数)に連動するタイプからは多額の投資資金は流出していません。流出額の多いファンドをあげると、DIAMアセットマネジメント「日経225ノーロードオープン」233億円、日興アセットマネジメント「インデックスファンド225」110億円、みずほ投信投資顧問「MHAM株式インデックスファンド225」72億円となっています。

アクティブ運用のファンドでも、UBSグローバル・アセット・マネジメント「日興UBS日本株式リスクコントロールファンド」112億円、フィデリティ投信「フィデリティ・日本成長株・ファンド」99億円、JPモルガン・アセット・マネジメント「JPMザ・ジャパン」66億円となっています。

日興UBS日本株式リスクコントロールファンドは、2013年12月の設定、ピーク時の純資産総額は1000億円を越えていたものの、5月中旬には400億円台と半年で純資産総額は半減しています。

新規設定で1000億円超の資金を集める

一方、多額の投資資金の流入があったファンドは、野村アセットマネジメント「日本企業価値向上ファンド(限定追加型)」2160億円。同ファンドは、4月3日に1057億円もの投資資金を集めて運用開始、その後も投資資金の流入が続き、4月16日には買い付け申し込みの一時停止となっています。通貨選択型を除けば、日本株ファンドで新規買い付けが一時停止となったのは2013年春先のJPMザ・ジャパンなど以来のことです。

新光投信「シラー・ケープ日本株式戦略ファンド(リスク・コントロール付)」も758億円もの資金流入がありました。同ファンドも4月7日の新規設定で630億円の投資資金を集めています。この2本は、4月の投資資金の流入額で第1位、第2位のファンドですが、日本株ファンドが資金流入額で1位、2位を占めたのはちょっと記憶にありません。

新規設定ではありませんが、ニッセイアセットマネジメント「JPX日経400アクティブ・プレミアム・オープン(毎月決算型)」は217億円の資金流入がありましたが、同ファンドは2015年2月から3ヵ月連続して200億円以上の資金流入となっています。

投資コストがインデックスファンドよりも高い、ベンチマークにほとんど勝つことができない等々、これまで劣勢に立たされていたアクティブ運用の日本株ファンド。一部のファンドは投資資金の流出となっていますが、時流に即したアクティブ運用のファンドには多額の投資資金が流入し始めています。

一過性の動きなのか継続してウォッチして行きたい動きと言えそうなことは確かなようです。
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