日常と非日常の絶妙なバランスから生まれる人生観に共感する 『ドラゴン桜』
偏差値36の高3生が東大受験に本気で取り組む物語。主人公の高校教師である桜木建二(阿部寛)のオリジナリティーあふれる教育方法はユニークかつ説得力にあふれていました。言葉に表情が添えられることで、言葉はグッと胸に響き、いつの間にか「やればできる」の気持ちがフツフツと湧き上がってきます。それをすんなり可能にした阿部寛の演技にも注目です。各教科の個性が豊かすぎる講師陣はまさにスペシャリスト。”見た目”は非日常的ですが、言葉は現実的。シンプルに“学ぶこと、わかること”の感動を教えてくれます。ドラゴン桜は全力で何かに挑むこと、夢中になることの本当の意味を教えてくれます。
命に寄り添おうとする心と島の風景が心にしみる 『Dr.コトー診療所』
島の美しさ。それは青い空と海だけではありません。船の音、風の音、やわらかい言葉、どれも美しく、視聴者がその空気感を感じることがドラマ化の味わいと言えます。主人公の医師・五島健助(吉岡秀隆)の声も”まさに”で癒されました。医師という仕事がエンターテインメントではなく、聴診器をかけて村民に寄り添う私たちの知っている”お医者さん”として描かれ、現実感と親近感を持ちます。緩やかな時間の流れも映像ならでは。島民たちが命に寄り添い、島民のために懸命に祈る風景には涙がとまりませんでした。
実在する人物と架空の人物がみごとに心を通わせる 『JIN-仁-』
幕末という時代は特別です。エネルギーに満ちた激動の時代、志高き若いチカラの躍動感は、今も日本人の心を惹きつけます。実在した人物と架空の人物が共存するドラマは多いものの、ここまで違和感なくみごとに心を通わせるドラマは多くありません。時間を越えたスケール感、セットの美しさと深みのあるメロディーがドラマに奥ゆきを与えます。タイムスリップというSF要素の強い設定ですが、謎解きやスリルではなく、深い人間ドラマとして視聴者の心をとらえました。勝海舟(小日向文世)、緒方洪庵(武田鉄矢)、坂本龍馬(内野聖陽)といった歴史上の人物に命が吹き込まれ、見る者を引き込んだ素晴らしい作品と言えるでしょう。
マンガを読んでドラマを楽しむ。ドラマを観てマンガを楽しむ。どちらにも新しい発見があり、お互いが響き合うことで視聴者はその世界観をさらに広げることができそうです。