バスケットボール

「トップ・オブ・ザ・キー」の意味とは?バスケットボール用語

バスケットボールコートにはトップ・オブ・ザ・キーと呼ばれる位置があります。その意味とは何なのでしょうか。この位置を理解すると観戦や競技の幅も広がるでしょう。バスケットボールの歴史も学びながら友達に自慢できるプチ情報をご紹介します。

佐々木 クリス

執筆者:佐々木 クリス

バスケットボールガイド

トップ・オブ・ザ・キーの意味とは

トップ・オブ・ザ・キーの意味とは

今回は観戦を楽しむ為に知っておくと良いバスケットボール用語を紹介したいと思います。
競技者のみなさんも必ず知っておくべき、そのフレーズは”トップ・オブ・ザ・キー”です。  

トップ・オブ・ザ・キーの意味は?コート上の鍵穴

このトップ・オブ・ザ・キーという言葉はバスケットコート上のある位置を指します。現代ルールでは見つけにくいかも知れませんが、コートにはkey hole=鍵穴に見えるエリアがあります。

まず鍵穴を見つけましょう。一体どこでしょうか?想像してみてください。
レーン幅4.9m

レーン幅4.9m

正解は、フリースローレーンとフリースローラインが横断する半円を合わせた部分。『全く鍵穴の形をしていないじゃないか』と思われる方もいらっしゃるはずです。この謎を解く為にはNBAの歴史をみていく必要があります
 

支配的選手出現によるルール変更

長方形の形をしたフリースローレーンは、ペンキでチームカラーに塗られているためペイントエリアとも呼ばれ、攻撃側の選手が3秒以上ここに継続して留まってはいけない(3秒バイオレーション)というルールが世界共通であります。

かつて“鍵穴”はフリースローラインを直径とする円を頭に、コケシかマッチ棒の様な形をしていました。確かに鍵穴のようにも見えますね。
レーン幅1.8m

レーン幅1.8m

長らくこの形でバスケットボールはプレーされて来たのですが、当時レーンの幅は1.8m。これだけ狭いとゴール下で高さの利を活かして他を圧倒出来る選手が出現、それが身長208cmのジョージ・マイカンでした。

彼のゴール下捌きは見事だったそうで、現在でもゴール周りのシュート精度を磨く為のスキルドリルが”マイカン・ドリル”という名で呼ばれるほど。

彼があまりにも支配的だったため、NBAは1951-52シーズンからレーンの幅を1.8mから一気に倍以上の3.7mに拡大。コート規定の変更を余儀なくされ、3秒バイオレーション適応範囲を広げたのです。
レーン幅3.7m

レーン幅3.7m

時代も変われば選手の能力も向上し、ルールもそれに合わせて順応してきたバスケットボール。

そしてNBA最優秀選手賞受賞(MVP)4回、1試合最高得点記録100得点という、決して破られる事が無いであろう金字塔を打ち立てたウィルト・チェンバレン(身長216cm)が現れると、フリースローレーンは1964-65シーズンから再び4.9mに押し広げられたのです。
 

トップ・オブ・ザ・キーを使えば扉が開かれる。

さて、Key Hole=鍵穴にあたる場所は分かりました。となるとトップ・オブ・ザー・キーと呼ばれる場所は必然的にキーの上部、半円の頂点付近となる訳です。

このトップ・オブ・ザ・キーがなぜ知る価値ある位置なのか? それは多くの攻撃がこのエリアを経由して展開されるからに他なりません。

プレーを楽しむ方なら、コーチから『トップ(・オブ・ザ・キー)でボールを受けて、そこから展開しろ!』と指示を受けた経験は必ずあるでしょう。自宅のテレビやアリーナでの観戦を楽しむ時も、チームの司令塔であるポイント・ガードと呼ばれる選手がここから攻撃を組み立てる光景を何度も目の当たりにするはずです。

何故トップ・オブ・ザ・キーが攻撃の起点となれるのか。このエリアでボールを保持する選手には多くの選択肢が与えられる事がまず挙げられるでしょう。この位置は目指すべきリングを見ながら、全ての攻撃側選手、守備側選手を視野に捉える事が可能です。そうするとバスケットボールに不可欠な状況判断の材料となる情報を全てキャッチ出来ます。

狙っていた左へのパスが阻止されれば、右の選択肢もある。自ら切り込む為のスペース(空いた空間)も左右均等に取れている。試合の終盤や大事な局面でボール扱いに長けた選手がこの位置で様子を伺い駆け引きをするのはこの為です。また攻撃が崩れた時にチームを落ち着かせて再トライする為にも良い位置と言えるでしょう。

という訳で今回はトップ・オブ・ザ・キーについて解説させて頂きました。是非皆様のバスケットボール・ライフ充実度アップに繋げて頂ければ幸いです。

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