ミュージカル/注目のミュージカルレビュー・開幕レポート

『アラジン』A・メンケン&稽古&キャスト取材(5ページ目)

いよいよ、開幕まで1週間を切ったミュージカル『アラジン』。ブロードウェイ以外では初の公演となる日本版は、どんな舞台になるのでしょう。4月28日、あざみ野の稽古場で行われた稽古&オリジナル・スタッフとメイン・キャストの合同インタビュー、そして5月18日の作曲家アラン・メンケン合同インタビューをレポートします!

松島 まり乃

執筆者:松島 まり乃

ミュージカルガイド

 

作者たちが切望した「本来の『アラジン』」

(C)Marino Matsushima

(C)Marino Matsushima

――ジャスミン役のお二人は、とても人気のあるディズニー・プリンセスを演じることについてどう思っていますか?

岡本瑞恵「ディズニー・プリンセスには、夢に向かって歩く姿勢という共通点があると思います。自分で動いて行こうとする姿勢を、ジャスミン役でもしっかり表現したいです。私は一般人なので、王女というものがどういうものかは模索中です。考え方は現代の女性に近いけれど、立ち振る舞いなどを大きく、深く、普段の生活から姿勢を正すようにしています」

三井莉穂「『アラジン』は自分も大好きな作品とあって、その(アニメの)ジャスミンを追いかけていた時期もありますが、今は、なぜ皆が彼女のことが好きなのか、それは“共感できるから”なのだと思って、自分の中の実感を強く持って演じられたらと思っています。自分から遠いところで役を探すのではなく、みんなから応援してもらえるジャスミンをと思っています」
『アラジン』リハーサル(C) Marino Matsushima

『アラジン』リハーサル(C) Marino Matsushima

――本作のミュージカル化はアニメ版の作詞作曲のハワード・アシュマンとアラン・メンケンの発案だったそうですが、アシュマンは制作中に亡くなってしまったのですよね。ということは、かなり初期段階で舞台化の話が出ていたのですか?

スコット「いい質問です。舞台版はハワードとアランがディズニーに持ちかけたのですが、ディズニーは当時興味は持ったものの“もう少し膨らませてほしい”と断っていたんです。当初の構想では、二人は20~30年代の雰囲気の舞台にしようと思っていたそうです。

それをアニメ版のロビン・ウィリアムスが強烈な存在感で見事に吹き飛ばした。アニメ版は本当によくできていたと思います。ですが、今回の舞台版はハワードとアランが書いたものがすべて使われていて、「Proud of your boy」等の3曲は映画版ではカットされていましたが、復活して見事に溶け込んでいます。初期段階から『アラジン』に関わっていた人たちは、アランを含め、ブロードウェイ版を観て非常に喜んでいます」

――マイケルさん、振付においては本作はどんな特徴がありますか?どの程度アラビア的でしょうか?(質問・松島)
『アラジン』リハーサル(C) Marino Matsushima

『アラジン』リハーサル(C) Marino Matsushima

マイケル「振付に限らず、衣裳や照明の色に至るまで、本作には、中東へのオマージュの部分が多いです。動きについても、1000年前から伝わっているような中東らしさが意識されていて、また演出家であり振付も担当したケイシー・ニコロウは20~30年代のボードビルの動きを、特にジーニー役に投影しています。とてもオリジナルな振付だと思います」

*****
お話を聞き、期待がいや増してきた日本版『アラジン』。次回は開幕次第、観劇レポートをお届けしますのでお楽しみに!

*公演情報*『アラジン』2015年5月24日開幕=電通四季劇場「海」

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