巨匠との仕事は意外とスムーズ!
サンディ・パウエルはマーティン・スコセッシ、トッド・ヘインズなど大御所との仕事が多く、今回の『シンデレラ』はこれまた大御所のケネス・ブラナー!――サンディさんは巨匠と呼ばれる監督との仕事が多いですよね。名監督は衣装へのこだわりは強いのですか?監督は衣装デザインにどれほど関わってくるのでしょうか?
サンディ 監督のタイプによって衣装への関わりは変わってきますね。私はヴィジュアルを重視する監督が好き。監督がイメージ、ヴィジュアルを具体的に最初に提示してくれて、後はお任せということが多いわね。意見が合わないと何度も打ち合わせすることになり、お互いに時間を取られてしまって二度手間でしょう。だから最初の打ち合わせのときに映画全体のトーンやイメージをお互いがしっかり決めて臨むのが大事だと思いながらやっています。
――今回のケネス・プラナー監督との仕事はいかがでしたか?
サンディ ケネスは映画『シンデレラ』の打ち合わせのとき、他の仕事も抱えていて、大忙しだったの。だから基本的にはデザイン画を見せてOK?と聞いて、確認をして進めた感じね。ケネスもそうだったけど、やはり全面的に信頼して任せてくれると言うやり方が私はやりやすいですね。
――役者からの衣装のリクエストはありますか?
サンディ よくありますよ。役者の意見も大切にしています。でも衣装デザイナーにとって一番大切なのは監督のヴィジョン。役者にデザイン画を見せたり、打ち合わせしたりもするけど、役者のセンスよりも、キャラクターとして適した衣装かどうかが重要。だから衣装合わせのときもキャラクターに着せているという感覚でやっています。話し合いもこのキャラクターに合っているかどうかの確認ね。
――衣装についてリクエストが多い俳優はいますか?
サンディ う~ん、それはここでは言えないわね(笑)
――衣装デザイナーとして成功しているサンディさん。仕事で悩んだり迷ったりしている人々にアドバイスをするとしたら?
サンディ 心の声に忠実であること。毎朝起きて、仕事へ行くのが楽しい、頑張ろうと思えないのなら、それは間違ったキャリアかもしれないわね。迷いがあるとき、自分を納得させて生きていくことは難しいわ。心の声を聞いて、チャレンジしてほしいですね。挑戦することに遅い年齢なんてありませんから。
華やかなオレンジ色のショートヘアでプロポーションも抜群のサンディ・パウエル、発言もキッパリした物言いで気持ちよく、かっこいい女性です。
彼女の次回作はトッド・ヘインズ監督作『Carol』。『シンデレラ』にも出演したケイト・ブランシェットが出演しています。
ちなみにサンディ曰く「一番注目してほしいのは舞踏会のシーンね」と言っていました。各国のお姫様が勢ぞろいした舞踏会は、まさに美の競演!ぜひスクリーンで確かめてください。
PROFILE:サンディ・パウエル
1960年イギリス・ロンドン生まれの衣装デザイナー。ロンドンで舞台デザインを学び、映画の衣装デザイナーに。マーティン・スコセッシ、ニール・ジョーダン、トッド・ヘインズ監督との仕事が多い。アカデミー賞衣装デザイン賞には10回候補に挙がり、3回受賞している。
『シンデレラ』(2015年度作品)
2015年4月25日より公開
監督:ケネス・ブラナー 出演:ケイト・ブランシェット、リリー・ジェームズ、リチャード・マッデンほか
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