公認会計士試験/公認会計士とは

公認会計士の就職難が解消された背景と今後の見通し(2ページ目)

公認会計士の就職難は、平成27年現在、解消されています。しかし、業界のサイクルを考えると、難関試験を勝ち抜いた公認会計士といえども、その資格に安住することはできません。就職難解消の主な要因は2つ。今回は、この要因と今後の見通しについて解説します。

日根野 健

執筆者:日根野 健

公認会計士ガイド

就職氷河期が終わった理由と業界事情

就職氷河期が終わった理由は、大局的に見れば前ページのとおり、循環的な要因なのですが、最近の動向についてもう少し詳しく見てみましょう。

【図2undefined最近の合格者数・合格率の推移】

        【図2 最近の合格者数・合格率の推移】



就職氷河期が終わった理由のひとつは、公認会計士試験合格者の急減にあります。合格者数、合格率ともにピークであった平成20年(合格者:3,024人、合格率:15.3%)と比較した場合、平成26年のそれは、合格者:1,076人、合格率:10.0%と、合格者数は実に平成20年の約3分の1にまで減ったのです。

もうひとつの理由は、大手監査法人における退職者の増加とその補充というものです。人材を補充しないと監査現場が回らない状況が出てきています。
大手監査法人における退職者が増加している原因としては、業務が過重であることのほか、企業などの組織内で活躍するフィールドが拡大していることも挙げられます。

大企業に就職すれば安心という考えは通用しなくなっていますが、それは公認会計士の世界でも同様です。難関の国家試験である公認会計士試験に合格した者だけに与えられる「資格」に安住しているだけでは、顧客が得られない時代です。
公認会計士の年収ですが、私の知る限り、少ない人で400万円ほど。多い人で1億円ほどです。同じ公認会計士であっても、得られる報酬は大きく違います。

実際、監査法人では仕事のできる人に仕事が集中し、できない人には仕事が割り当てられない、という厳しいところがあります。もちろん監査法人を辞めて独立すれば、さらに厳しい世界が待っているのですが。

平成26年の合格者数(1,076人)を基準とした場合、平成19年から平成22年にかけては、ほぼ2倍弱から3倍弱の合格者を毎年排出していたわけですから、この大量合格世代は、特に厳しい競争にさらされるのではないでしょうか。

【図3undefined日本公認会計士協会員の推移】

       【図3 日本公認会計士協会員の推移】



次のページでは、広がる公認会計士のフィールドについて解説します。
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