公認会計士試験/公認会計士とは

公認会計士の就職難が解消された背景と今後の見通し

公認会計士の就職難は、平成27年現在、解消されています。しかし、業界のサイクルを考えると、難関試験を勝ち抜いた公認会計士といえども、その資格に安住することはできません。就職難解消の主な要因は2つ。今回は、この要因と今後の見通しについて解説します。

日根野 健

執筆者:日根野 健

公認会計士ガイド

この数年で公認会計士の就職状況は大きく改善しました。就職氷河期がどのように来て、そしてどのようにして終わったのかを見てみましょう。

平成27年、公認会計士試験合格者の就職氷河期は終わった

公認会計士として仕事の現場に出て、また監査法人で採用面接等の人事に関与してきた私の実感として、公認会計士試験合格者の就職氷河期は終わりました。

公認会計士業界のリクルート活動は8月~11月です。8月下旬に公認会計士試験が終わると、すぐにリクルート活動が始まります。そして11月下旬の合格発表までにリクルート活動が終わるのが一般的です。
公認会計士試験合格者の就職状況がよいか悪いかは、この合格発表時点で、就職先が決まっていない人がどれくらいいるか?が目安になります。

【図1undefined就職活動の流れ】

          【図1 就職活動の流れ】



就職氷河期であれば、合格発表時点においても就職先が決まっていない合格者が数百人もいます。逆に就職状況がよい年であれば、合格発表時点ではほぼ全員の就職先が決まっている、ということになります。

私が公認会計士試験に合格した平成15年や、合格者急増後の平成21年や22年頃は就職氷河期でした。

実は、公認会計士の業界の採用状況は、下のようなサイクルを5~10年のスパンで繰り返しています。

1.景気が良くなって公認会計士に対する需要が増え、合格者が増える(売り手市場)

2.景気が一段落して、大手監査法人に人材の余剰感が出る

3.大手監査法人が採用を絞って就職難が発生する(買い手市場)

4.大手監査法人が採用を絞るなか中小監査法人や企業が目いっぱい採用するが、それでも就職難が解消できず、さらなる就職氷河期となる

5.大手監査法人が次に内部の公認会計士の評価を厳しくし(昇進できるものとできないものがハッキリ分けられる)、出世競争から脱落する公認会計士が大手監査法人を辞める。

6.結果として、大手監査法人のなかで残された公認会計士に対する業務が過重になり、いっそう人材が流出する。

7.それとともに景気サイクルが上向き、公認会計士に対する需要が増え、売り手市場が到来する。

平成27年の今は6、7のあたりです。しかし、今の状況も長くは続かないでしょう。もう少し売り手市場が続いたのち、近い将来、また就職氷河期が訪れるのです。


次のページでは、公認会計士を取り巻く最近の動向について解説します。
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