住宅再建がまであと3年。「その後」にも不安が…
住宅再建にまだあと3年も要するのにはわけがあります。それは、土地全体を3~5mほどかさ上げをするためです。というのも、その場所は津波の被害に遭った場所だからです。昨年の段階ではその実物大モデルが作られていましたが、今年はすでに工事が着工されていました。それも復興を感じさせる光景でした。なお、災害公営住宅など住宅再建の全体像については、「東日本大震災から4年 仮設住宅の撤去が未だ僅かな現実」をご覧下さい。復興は地域によりスピードの度合いが異なりますが、そのことを閖上地区で再確認しました。
災害公営住宅などが完成するまで3年かかることも大変ですが、その後も安心はできないというのが被災された方々の本音のようです。というのも、「災害公営住宅の家賃を考えると先々の生活が心配」だからです。
災害公営住宅は世帯年収により家賃が決められ、当初5年間は安く設定されますが、その後は高くなることです。仮設住宅にお住まいの方はご高齢の方が多いため、家賃の負担は大きな悩み。何らかの対策が必要になると思いました。
仮設住宅での生活も4年になりコミュニティができ、その安心感もあるようです。音の問題で遠慮せずにすみ「足を思い切り伸ばせる快適な暮らしをしてみたい」と考える一方で、新たな生活への不安もあるというのが、仮設住宅にお住まいの皆さんの正直な気持ちのようでした。
また、自力で住宅再建を考えている方(既に実現した方も)でさえ、将来への不安を感じているそう。前ページでご紹介した大宮さんのご自宅は、行政が居住禁止区域に指定している場所にあるといいます。
「これまでより狭い家ですが再建しようと考えています。しかし、(二重ローンになることから)再建する際は、新たに『被災』するような気持ちになりそうです」とお話しされていました。復興が進みつつある中で、被災された皆さんには新たな不安が持ち上がっているように感じられました。
「災害ツーリズム」による被災地支援の必要性
震災発生から丸4年が経過し、少しずつ復興が進んでいます。しかしその背後に、被災された方々の今後の生活への不安が根強くあるという現実を気づかされました。ところで、毎年、閖上地区を訪問しているのは、埼玉県越谷市の「南越谷阿波踊り」の有志の方々が実施している、「美田園第一応急仮設住宅」への慰問ツアーに同行させていただいていることによります。
これは、同市に本社を置く住宅会社「ポラスグループ」が、仮設住宅を建設したことが発端となっています。今年は過去最多の約80人が仮設住宅を訪れ、阿波踊りを披露しました。4年目にもなるとお互いが顔見知りとなり、大変楽しいイベントになりました。
今回の訪問で最も強く感じたのが、被災された皆さんが未だに「絆」を求めていらっしゃるということ。私たちがバスに乗って仮設住宅を後にする時、名残惜しそうにずっと手を振っている住民の方々の姿が印象的でした。
「災害ツーリズム」という言葉があります。被災地を訪れて、そこで何が起こったのかを知り、地元の特産品を購入して、被災地を支援するという活動のことをいうようです。
「何だか申し訳なくて」と被災地を訪れることを遠慮している方も多いと思われます。でも、いいんじゃないでしょうか。仮設住宅の方々を始め、私がお会いした皆さんは「また来てね」とおっしゃっていましたから。前述したように、被災地では「語り部」のような人たちの活動も始まっていますし。
偉そうなことを書いていますが、私自身はこれまで被災地復興に特に貢献できていません。その反省もあり、年に一度このイベントに参加している次第です。少なくとも仮設住宅がなくなるまで、毎年閖上地区に足を運ぼうと考えています。
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