アーティストにとっては「制作する動機そのもの」
まずはmamoruさんの作品を鑑賞してみましょう。うす暗い部屋の壁には、文章や地図が貼られています。
《THE WAY I HEAR, B.S.ライマン 第四章 独想のためのスコア、19 June, 1874》 2013-14 (C)mamoru / Tokyo Wonder Site 2014
壁に取り付けられた棚板の上に楽譜とコンパスが置かれています。
《THE WAY I HEAR, B.S.ライマン 第四章 独想のためのスコア、19 June, 1874》 2013-14 (C)mamoru / Tokyo Wonder Site 2014
書かれている文章を読んだり、その文章に出てくる通りにコンパスを動かしたり、置かれた石を触ったりすることがこの作品の鑑賞方法。スピーカーはないのに、川のせせらぎなどの音が聞こえてくるようで、まるで旅に出掛けているような感覚になります。
mamoruさんはこう語ります。
「私の作品制作においてコンセプトをつくる、という発想をもったことがありません。なぜならコンセプトは『制作の動機そのもの』で、つくるものではなく、既にあるものだから」。
じゃぁ、mamoruさんは普段からコムズカシイことを考えているのでしょうか?
「もともと自分自身の中にあるアイデア、音、イメージ、発想や興味、気にかけていること、問題意識、あったりなかったりする根拠、そういったことだけでなく、時代的なこと、社会的なこと、日常的なこと、自分が生きて接する世界のいろいろな状況があります。こうしたことに対して観察したり考えている状態を、自分なりに理解しよう、と繰り返し疑問と質問しつづけることが私の『作品をつくる』行為そのもの。そのときの核になっているものが『コンセプト』だと思います」。
やっぱりコムズカシイんですね!単純に「キレイ」とか「美しい」とかで作品をつくったらいいのに!
mamoru
mamoruさんの言うように、「コンセプト」は目に見えたり、分かりやすいものではありません。作品を見たとき、キレイとか美しいと思っても、実は他の意味や目的があるのでは? と疑ってください。そのとき感じること=「コンセプト」。つかむまでコツと時間が掛かりますが、分かるようになったら現代美術をとても楽しめますよ!
=mamoru 展覧会情報=
「他人の時間|Time of others」
会場/東京都現代美術館
会期/2015年4月11日(土) ~6月28日(日)