アート・美術展/アートの楽しみ方入門

コムズカシイ?美術の「コンセプト」を理解するコツ

普通の生活には必要なくて、現代美術に欠かせないものと言えば「コンセプト」。展覧会のアーティストトークや学芸員さんの説明でも「この作品のコンセプトは」と聞いたことがあるでしょう。でもそれ一体何?今回は「コンセプト」についてご紹介しましょう。

藤田 千彩

執筆者:藤田 千彩

アートガイド

現代美術の専門用語で一番耳にしながら、一番難解なのが「コンセプト」という言葉です。美術に詳しい人に説明してもらえばもらうほど「で?」と言いたくなります。


まずは「コンセプト」に気付きましょう

現代美術作品は「桜が描かれててきれいだね」とか「粘土がモリモリ盛られてて力強いね」というように、表面的に分かるものとはではないので、「分かりにくい」のです。作品の裏やナカミに隠されている「コンセプト」を理解しないといけません。

でも作品の表面に見えない、裏やナカミって何でしょう?

私藤田が思うに、梅ではなく桜を描くアーティストもいれば、白色ではなくピンクで桜を描くアーティストもいます。極端な場合、桜をなぜ描くのか?というアーティストもいます。その違いは、アーティストによって「コンセプト」が違うのです。

そういったコンセプトの違いに「気付く」ことが、現代美術を楽しむ一歩です。


何度も見ることで気が付く「コンセプト」


写真をつかった作品を発表するアーティストの下道基行さんにとっての「コンセプト」とは何でしょうか。

下道基行《torii サハリン、ロシア》2006-2012年undefinedC-プリントundefined100×150cmundefined所蔵:森美術館、東京

下道基行《torii サハリン、ロシア》2006-2012年 C-プリント 100×150cm 所蔵:森美術館、東京

「僕は風景写真が多いので、風景が美しいとか、面白いという感動が、制作の初期衝動がほとんどです。だからみなさんが写真を撮る事と変わらない気がします。さらに、繰り返しその被写体を撮影を続けながら『なぜこれに自分は面白いと思うのか?』という自分の中への疑問や、展覧会や本にする場合に『なぜこれを人に見せる必要があるのか?』という表現活動への疑問を突き詰めていく中で、コンセプトが生まれてくるように思います」。

鑑賞する側からすれば、作品を見ただけでコンセプトも理解することは難しいでしょう。下道さんの作品をたくさん見ることで、下道さんのコンセプトを理解できるようになるかもしれません。

=下道基行 展覧会情報=
『MAMコレクション001:ふたつのアジア地図--小沢剛+下道基行』
会場/森美術館(東京都・六本木)
会期/2015年4月25日(土)~7月5日(日)

「他人の時間|Time of others」
会場/東京都現代美術館
会期/2015年4月11日(土) ~6月28日(日)
  • 1
  • 2
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます