百歳者の睡眠時間は9時間50分
沖縄の高齢者は元気です
沖縄県は長寿の県として知られています。毎年、沖縄県では100歳を迎えた方全員を対象に、「新百歳者健康疫学調査」が行われています。これまで、のべ2,000人を超える方が参加されてきました。
データがそろっている678人の平均睡眠時間は、9時間50分でした。睡眠時間は日常生活の活動レベルによって違い、活動性が低いグループは9時間54分と長く、活動性が高いグループは9時間20分と短めでした。
睡眠障害については、入眠障害(寝つきが悪い)が21.7%、早朝覚醒(朝早すぎる時刻に目覚める)が12.8%、熟眠障害(グッスリ眠った気がしない)が9.3%でした。眠るために薬などを使っている人も、10.8%いました。
家庭内での活動はほぼ不自由なく、隣近所に一人で出かけるなど、日常生活の活動レベルが高い人ほど、入眠障害が少ないことも分かりました。
昼寝と運動が良眠のポイント
30分以内の昼寝を習慣にすると、認知症になりにくくなります
一方、睡眠の状態が悪い人には、夕方に居眠りする人が目立ちました。この人たちは、精神的な健康が悪くなるリスクが、8.5倍にもなってしまいます。
不眠の高齢者を対象に睡眠健康教室も行われ、効果を発揮しています。昼食のあとに短い時間の昼寝をとり、夕方には軽い運動を行うプログラムに、4週間取り組んでもらいました。すると、夕方以降の居眠りが減り、そのぶん夜間の睡眠の質が良くなりました。さらに、精神的な健康感や日中の活動のメリハリも良くなりました。
これらの取り組みは、高齢者の健康を改善しただけでなく、医療費も減らせました。ある町では、ピーク時に11億円近くかかっていた高齢者の医療費が、最大で2億円も減っています。
高齢者にお勧めのタラソテラピー
まずは、プールを歩いてみましょう
高齢者には、軽め~中くらいの強さの有酸素運動がおススメです。特に沖縄県では、海に囲まれた特徴を生かして、タラソテラピーが行われています。
タラソテラピーとは、海を意味するギリシャ語の「Thalasso」と、フランス語で治療を意味する「Therapie」から作られた言葉です。日本では、「海洋療法」と呼ばれています。海水の浮力や抵抗、粘性などを生かす海洋療法は、高齢者でも安全に行えます。
具体的には、アクアストレッチや水中ダンベル、水中歩行などの有酸素系運動を、週3回おこないます。10週間つづけると、夜中に目覚めることが減り、睡眠の効率が良くなることが分かっています。
まずは夕方に、プールを歩くことから始めてみては、いかがでしょうか?
【関連サイト】
海洋療法研究開発拠点
老後も安心! 認知症にならないための眠り方
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