「自立した学力」のために3つのサイクルを軌道に乗せる
自立した学力のための、3つのサイクル
まだ小さいお子さんのことを考えると、まるで遠い国のできごとのように聞こえるかもしれませんが、下記の3つのサイクルを普段から意識しておけば、決して難しいことではないのです。
- 「正しい」インプット
- 「自由な」アウトプット
- 「楽しい」成功体験
1の「正しい」インプットとは、問題解決のための情報を自力で手に入れるための方法論を知っておき、たとえば先ほどの漢字プリントの例では辞書を使うことができ、百科事典やウェブで未知の物事を調べることができ、日常的に読書やテレビやコンピュータ、または先生や物知りな大人から情報を手に入れる習慣を持つということです。
2の「自由な」アウトプットとは、自分が知ったことや考えたことなどを、文章でも絵でも音楽でも会話でもどんなかたちでもいいので、日頃からひとに伝える意欲を持つということです。漢字プリントの例で言うと、実は漢字のお手本をまねるという行為は高度に知的な作業で、同じ造形をバランス良く空間に配置して書くためには、観察力や運筆力が必要です。そうやって身につけた教科書のお手本から脱出して、マスや罫(ガイド)を取り払っても書ける、描ける、ひいては枠組みがなくても自分で考えられるという力は、高度な「応用力」なのです。
3の「楽しい」成功体験とは、何かを日頃積み重ねた結果に手に入れることのできる達成感です。子どもにとって、学びでも運動でも友だち付き合いでも日常生活でも、「できた」という達成感は何よりのモチベーション。成功体験が、子どもが本来持つ知的好奇心の火を消さず、継続を後押しするのです。
共働き家庭の家庭内チームワークの秘訣
子どもの学びの下支えとなるのが、家庭内のチームワーク。その運用は、職場での仕事の進め方に通じるものがあります。というのも、家庭のタスクも職場のタスクも、人間同士のつながりの中で進めていくからなのですよね。共働き家庭の場合、子育てに手のかかる時期こそ、意識して風通しの良い「チーム」感を醸成したほうが家族全員にとって楽なのではないでしょうか。たとえば、夫婦で子どもの学びの状況を把握する主・副担当を決めるなどの話し合いを持ち、持ち場を明確にしたほうがお互いにやりやすいでしょう。
また、学びに限らず目標やタスクの数量化・見える化をするのも大切です。毎日○ページ、平日/休日の配分など、緩急をつけておくと体調不良や行事などでイレギュラーが起こったときもキャッチアップしやすい上、たとえば自分たちが仕事で不在の時も、子ども本人、あるいは他の養育者に今日のタスクを伝達しやすいという大きなメリットがあります。
そして、子どもの学びのチェックやフィードバックは心を込めて。子どもが勉強を楽しいと思うか、人生の中に組み込めるかどうかは、周囲のフィードバックのクオリティにかかっていると言っても過言ではありません。真剣に見る、真剣に評価する。真剣に褒め、励ます。「我が家がどういう子育てをしたいか」、「どういう子になって欲しいか」など、子どもの成長にしたがって折を見て修正しながら、「継続と達成」を大切にして取り組んでみてください。
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