加速は豪快。大きなハコがばく進する
1月中旬。デトロイトの気温は、マイナス10度以下。極寒のなか受け取ったホワイト・ダイアモンド・トリコートのエスカレードはMY15のプレミアムだったが、エンブレムは古かった。日本仕様ではプラチナムに装備されるパワーステップがオプション装備されていた。そのステップを使っても、運転席に“よじのぼる”という感覚は変わらない。思わず、“よっこらしょ”が口をついて出る。
インテリアの雰囲気は、旧型に比べて、いっそうラグジュアリーに。ダッシュボードに限っては、はっきりと最新のキャデラックモードにまとめられている。それはもう、違和感を覚えるくらいに。
積雪アリ、ところどころアイスバーン。スノータイアを履いたエスカレードでがんがん走った。22インチタイヤ&ホイールを履いているせいか、ときおりゴツゴツとした乗り心地になる。でかくて薄くて硬くて丸いものが転がっているのが、よくわかった。
それでも、旧型より随分と平滑なライドフィールになったと思わせてくれたのは、ひとえに、マグネティックライド(磁性流体減衰力制御)の恩恵だ。
加速は相変わらず、豪快。大きなハコがばく進する感じは、旧型と同様だ。けれども、ハコそのものが、随分しっかりとした印象で、安心して踏んでいけるのが新型の特徴だ。トラックシャシーゆえ、上屋のハコの分離感が強調されるのは致し方ないが、以前に比べ引き締まった印象があるのは事実なので、ドライブもラク。
新しいダンピング制御としっかりとしたボディ(とはいえ、モノコックボディほどではないわけだが)は、当然、ハンドリングにも好影響を与えている。フロントアクスルが以前よりも、はるかにまともなレスポンスをみせてくれるのだ。もっとも、これだけの巨体である。ある程度の“ため”を予想しながら、リズムよく操縦することが、スムースにドライブするコツである。
何もかもが広大なアメリカ。でかいエスカレードでも、日本でM・ベンツGLAクラスに乗っている、くらいに思える。アメリカに住んでいれば、たしかに最も安心してドライブできるクルマ、それがこのサイズの巨大SUVというわけだろう。
日本ではそのサイズからして、最上級の、そして値段以上のステータスを発揮するに違いない。ヨーロッパ製高級セダンなど、しがにもかけない存在感であるからだ。アメリカ発ゴージャスのコストパフォーマンスは、サイコーだと思う。