海へ行ってみましょう
さあ、次は海へ行ってみましょう。『鴫立庵』の横から細道を下りていくと、裏手はすぐ海になっています。左手の方角には、灯台が見えますね。灯台付近からの海の眺め
灯台の付近からの見晴らしは、とても良く、東には江ノ島が見え、西側には小田原方面の海が一望できます。天気が良ければ、ぜひ灯台のそばまで行ってみてください。
そして、ここでぜひともご紹介したいのが、毎月第3日曜日、大磯港で開かれるビッグイベント「大磯市(おおいそいち)」。
「大磯市」の様子
新鮮な魚介類はもちろん、特産品、さきほどの『つきやま』に出品している作家さんの作品など、180店舗以上が集まり、神奈川県下最大の朝市だそうです。
大磯のマスコットキャラクター「いそべぇ」と「あおみ」
「大磯市」の特設ステージに登場するのは、大磯のマスコットキャラクター「いそべぇ」と「あおみ」。5月初旬から10月ごろにかけて、大磯の海岸に飛来する「アオバト」がモチーフになっています。
ミュージシャンの歌に合わせて、ノリノリで踊ってましたよ。
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■大磯市
毎月第3日曜日に開催
ホームページ → 大磯市ホームページ
明治の偉人たちも歩いた松並木
続いて、海から国道に出て、小田原方面に歩いて行きましょう。美しい「東海道松並木」
しばらく行くと、美しい松並木が見えてきます。この「東海道松並木」は、江戸時代に植えられた樹齢300年を超える松も残り、大磯を代表する風景のひとつ。
そして、この辺りは明治時代に建てられた大きな別荘が立ち並ぶ、いわば別荘街です。
現在の大磯中学校の敷地は、山縣有朋(やまがたありとも)の別荘「小淘庵」跡。お隣の現在「古河電工大磯荘」になっている敷地は、外交官・陸奥宗光と早稲田の創始者・大隈重信の別荘で、当時の建物がほぼ保存されています。
「旧滄浪閣」(通常非公開) 旧館部分が、関東大震災後に建てられた大正時代の建築 写真提供:大磯町観光協会
さらにその隣の「旧滄浪閣」は、伊藤博文の邸宅跡。伊藤公は、晩年は大磯に本籍を移し、大磯町民になっていました。このあたりの邸宅跡地は、いずれも非公開ですが、雰囲気だけでも十分に味わいながら歩きましょう。
こゆるぎ緑地
「旧滄浪閣」の先で、小道を左に曲がると、海に面した気持ちのいい緑地(こゆるぎ緑地)が広がっています。かつて、別荘から浜辺に直結していたプライベートビーチの雰囲気を味わうことができるので、時間があれば深呼吸しに行ってみてください。
大磯観光のハイライト、旧吉田茂邸へ
「旧滄浪閣」から、更にバスの停留所で2停留所分ほど歩いていきます。小さな川を渡り、山の尾根を削って道を通した、いわゆる「切通し」を抜けると、正面の景色がパッと開けます。旧吉田茂邸前からの富士山の眺望
冬場は正面に大きく富士山が見える絶景の地。この左手に広がるのが、戦後復興の立役者、吉田茂首相の邸宅跡。大磯観光で外せないスポットです。
大磯は、8人もの宰相(総理大臣)が別荘もしくは邸宅を構えた土地として知られます。ちなみに、その8人とは、伊藤博文・山縣有朋・大隈重信・西園寺公望・寺内正毅・原敬・加藤高明・吉田茂。
梅の季節の旧吉田邸
旧吉田茂邸は、吉田茂が昭和19年頃から、亡くなった昭和42年までを過ごした邸宅で、皇太子時代の今上天皇と皇后様をはじめ、多くの国内外の要人が招かれました。
また、吉田茂の政界引退後も、大物政治家らが助言を仰ぎに吉田邸に通った様子は「大磯詣」という言葉を生みました。
吉田茂の銅像(旧吉田邸)
残念ながら、2009年に火災により本邸が焼失してしまいましたが、2015年に再建工事がスタートし、2016年に工事が完了。このほど、2017年4月1日から一般公開を開始することになりました。
吉田茂邸の公開に関する詳しい情報は、こちらの記事をご覧ください。
4月1日より公開となる旧吉田茂首相邸の見所は?/神奈川県大磯町(AllAbout News)
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■旧吉田茂邸
住所:神奈川県中郡大磯町国府本郷
TEL:0463-61-4700(郷土資料館)、0463-61-4777(旧吉田茂邸)
公開時間:9:00~16:30(入館は16:00まで) 庭園は17:00まで
入館料:大人500円、中高生200円、小学生以下無料 庭園は無料
休館日:毎週月曜(月曜が祝日の場合は翌火曜)/毎月1日/年末年始 2017年4月1日、3日は臨時開館
ホームページ → 旧吉田茂邸(大磯町郷土資料館)
旅の終わりに
大磯は、鎌倉や葉山など他の別荘地と同様、海に面し背後に山を背負った地形による温暖な気候に恵まれているということはありますが、それだけで、多くの人々が別荘を構えたわけではありません。明治時代の大磯駅と旅館「招仙閣」 写真提供:大磯ガイドボランティア協会
例えば、明治20年に、鉄道(東海道線)が、横浜から国府津まで延伸される際の計画では、当初、大磯に駅を設ける計画はなかったのを、元陸軍軍医総監・松本順が中心となり、駅敷設に尽力したそうです。
松本順は、大磯の海水浴場開設と宣伝にも尽力し(大磯は、我が国における「海水浴場発祥の地」とされます)、こうしたことが、その後の町の発展に大きく寄与しました。
なにか大きな事業が成立するときには、その中心に、きちんとした絵が描ける人物が必ずいる。旅の終わりに、そんなことを再確認しました。
大磯プリンスホテルで、吉田茂にちなむランチを!
大磯プリンスホテルでは、旧吉田茂邸の公開に合わせ、吉田茂が愛したと言われる大磯の名物を味わえる"ランチメニュー"と"ご宿泊プラン"を販売します。大磯プリンスホテルの「旧吉田邸ランチ」(写真提供:大磯プリンスホテル)
ランチは、生前、吉田が好んで食べたと言う「井上蒲鉾店」の"はんぺん"、「真壁豆腐店」の"豆腐"、「新杵(しんきね)」の"まんじゅう"を一度に味わえるというメニュー。
このメニューによるランチは、2017年4月5日~7月7日限定で、5日前までに予約が必要。ランチ会場は、大磯プリンスホテル「メインダイニングルーム」で、料金は、1名あたり3,500円(税込、別途サービス料)。
また、宿泊プランは、旧吉田茂邸と庭園のガイド、城山公園内茶室での抹茶と生菓子の提供、上記の大磯の名物が味わえるプレート付きディナーブッフェなどが付くプランで、1名あたり13,457円より(1室2名利用時。税込)。1週間前までに予約が必要です。
大磯プリンスホテルホームページ