16世紀のイタリア式庭園と19世紀の英国式庭園のコラボ

paggeria medicea

メディチ家のパッジェリア(騎士見習い所)を改装したヴィラ・デミドフ (c)Ewa Kawamura

statua demidoff

かつてメディチ家のヴィラのあった場所に立つロシア貴族デミドフの像 (c)Ewa Kawamura

2013年にユネスコ世界遺産登録された「12軒のメディチ家のヴィラと2つの庭園」のうちの庭園の一つが、今回紹介のプラトーリノ園(Giardino di Pratolino)です。フィレンツェからの北東約15キロ離れた土地プラトリーノ(ヴァーリア市)にあります。ここはメディチ家の当主フランチェスコ1世が造営させた二人目の妻(元愛人)ビアンカ・カペッロとの愛の巣でしたが、母屋のヴィラ(1575年、ブオンタレンティ設計)は維持困難のため18世紀末に荒廃し解体。19世紀、ロシアの富豪デミドフ家の手に渡り、庭園は当時流行していた自然景観を模した英国式にリニューアルされたので、ヴィラ・デミドフ(Villa Demidoff)とも呼ばれています。

utens villa pratolino

ジュスト・ウテンス描くヴィラ・プラトリーノ(1600年ごろ)(Museo di Firenze com'era博物館蔵)

1872年、デミドフ家は「パッジェリア(paggeria)」とよばれるメディチ家の騎士見習い養成所の建物(上一枚目の写真)を改装して住み、かつてのメディチ家のヴィラのあった場所には、デミドフ家の群像(フィレンツェ市内にある像の縮小レプリカ)が置かれました。今でも庭園には、16世紀メディチ家時代の面影が残っています。フランドルの画家ウテンスが描いたヴィラ・プラトリーノの当時の景観図(現在のヴィラ・デミドフの敷地の7分の1ぐらいの面積部分)を見てみましょう。

grotta di cupido

プラトリーノ園に残るキュービッドの洞窟(ブオンタレンティ作) (c)Ewa Kawamura

そのなかで今も残るのは、ヴィラからフィレンツェの方角に向かって伸びる中心の直線道の一部、キューピッドの洞窟(grotta di cupido)(1577年、ブオンタレンティ設計)(図の左手)、不規則に細長く蛇行した形の甲殻類の養殖池(gamberaie)(図の右手)など。ルネッサンス期のイタリア庭園の典型的な特徴ですが、プラトリーノ園のコンセプトもやはり「水遊び」。人口の川、池、水流、噴水、水のしたたる鍾乳洞風の洞窟など、水をいかに面白く応用させて、訪問客を楽しませるかにかかってました。
 

必見のアペニン山脈の擬人巨像!

Appenino

プラトリーノ庭園の目玉!アペニン山脈の擬人巨像(ジャンボローニャ作) (c)Ewa Kawamura


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ブオンタレンティ設計の礼拝堂 (c)Ewa Kawamura

なんといってもプラトリーノ園の目玉とえば、アペニン山脈の擬人巨像です。ウテンスの景観図内にはない上方(北側)にある池に寄り添って、約10メートルもの高さのある奇想天外なアペニン像が置かれています。1580年の彫刻家ジャンボローニャのデザインですが、なんとこれは建造物でもあるのです。内部は縦に3つの部屋があり、2層目は美しく飾られた円蓋天井の部屋、3層目の部屋では巨人の目の部分に開口部が設けられ、外にいる人には分からないように、中から外を覗けるようになっています。

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園内にある当時のロカンダ(宿屋)がレストランに (c)Ewa Kawamura

当主フランチェスコ1世から、母屋のヴィラと園内を飾る構築物のほとんどを任されていたのが、フィレンツェの高名な建築家ブオンタレンティですが、最もオリジナルの状態に近い形で今も残っているのが、6角形の礼拝堂(1580年)です。他にも旅人の休息所として使われていた建物(locanda)もブオンタレンティの手が入っている可能性があるそうですが、今はレストラン・バールとして使用されています。

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現在の管理事務所は、17世紀末に遡る建物で、デミドフ家の時代には客人用のヴィラだった (c)Ewa Kawamura

<DATA>
Parco Mediceo di Pratolino(プラトリーノのメディチ家庭園)
見学日時:10:00~17:00(4月から10月までの金曜日)、10:00~19:00(4月と5月と10月の土、日、祝)、10:00~20:00(6月から9月までの土、日、祝)
入場料:無料
住所: via Fiorentina 276 50036 Vaglia (FI)
TEL:+39 0554080741または+39 055409427
アクセス:フィレンツェより各社バスで約40分。ATAF社 (25/A番、サンマルコ広場発)、SITA社(駅前広場発)、CAP社(ナツィオナーレ通り発)




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