新型ホンダ レジェンドの加速性能は「必要にして十分な以上に速い!」
本来なら2014年内に発売を予定していたホンダのフラッグシップである新型レジェンドながら、いくつかの要改良ポイントがあったらしく、実際の納車開始は延び延びになっていた。やっとメディア向けの試乗会も行われたのでガイドしてみたい。はたしてどんなクルマに仕上がっているだろう。ちなみに価格は680万円と高価に思えるが、内容を考えればリーズナブル。ブランド料が100万円以上上乗せされているレクサスGS450hのバージョンL(ほぼ同じ装備内容)だと819万2000円ですから。ベンツEクラスやBMW5シリーズ、アウディA6あたりを考えている人も気になる存在かもしれない。
ということで試乗だ。ハイブリッド車だからスタート時はエンジンはかかっておらずモーターで走り始める。タイヤが2~3回転ほど転がったあたりでエンジン始動。そこからエンジン+モーターのパワー両方を使いながら加速し、巡航状態になるとエンジンを使う。ブレーキを踏めばエネルギー回生するという具合。
つまり一般的なハイブリッド車だと考えればOK。実用燃費は街中で10~12km/L。流れの良い道なら12~14km/Lをイメージして頂ければよかろう。GS450hと比べ、4WDになっている分だけ(10%くらい)悪いと考えれば間違いない。まぁレジェンドを買う人の場合、燃料代は自分のサイフじゃない?
加速性能について言えば「必要にして十分な以上に速い!」。なにしろ3.5リッターV6エンジンと3つのモーターを総合した時の出力たるや382馬力! 5リッター級エンジンを凌ぐ出力である。日本の道路事情を考えたならアクセル全開にする機会など皆無に近いだろう。
素晴らしい素材が集まった新型レジェンドだが、試乗した結論は……
若干、気になるのがモーター駆動とエンジン駆動の切り替え時に感じるギクシャク感。アクセル一定で加速中、エンジンがかかるタイミングで加速が鈍り、かかった直後に加速する。やはりアクセル一定の時は一定の加速をして欲しいところ。高品質感の追求という点で、もう少し煮詰めたい。後輪の左右輪に別個のモーターを備え、コーナリング時に外側輪を駆動。内側輪は回生制動して「曲がろうとする挙動」を出す御自慢のシステムやいかに? コーナーでハンドル切ったら夢のように曲がってくれる、と予想していたら、全然違いました。普通に走っている限り、普通のクルマと同じ感じ。
どれどれ、と速度域を上げてみたら、なるほど素直に曲がってくれる。ただ普通の人だと使わないような早いコーナーの曲がり方をした時にしか稼働していない。イメージとしては、高速道路の進入ランプに高い速度で飛び込んでアクセルを踏んだような時です。ヨーロッパの交通状況で威力を発揮しそう。
それより普通に走っていて乗り心地悪いです。ゴツゴツしてるのだ。装備や内容を考えればリーズナブルながら、絶対的な価格が高い。もっと滑らかな乗り心地じゃないと厳しいんじゃなかろうか。このあたりはクルマの味を決めるレストランで言えば「総料理長」のウデの見せ所。
そろそろ結論を出そう。残念ながらパワーユニットもハンドリングも乗り心地も、価格設定を考えると素晴らしく良い素材を使っているのに、味という点でイマイチなのだった。素材の良い部分をキッチリ引き出してやれば、きっとライバルに負けない味に仕上がると思う。今後の熟成に期待したい。
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