地盤への取り組みに住宅事業者の善し悪しの差も
この工法は、簡単にいうと前ページで紹介した柱状改良工法と鋼管杭工法の中間に位置づけられるものだといいます。一般的にこれら2種類の工法しかなかった世界に新たな工法を提案することで、より最適な地盤改良のあり方を普及させ、さらにコストの改善や工期の短縮も可能といいます。これ以上の詳しい説明は専門的すぎるので割愛しますが、私としては実際に専用の工具で地中に穴を開け、そこにセメントミルクという補強体を流し込む様子が確認できただけでも取材の収穫となりました。
実は、私も長いこと住宅関係の取材をしてきましたが、実際に地盤改良をしている様子を見ることができたのは初めてでした。
では、なぜこの会社がこのような工法を開発したのでしょうか。ちゃんと理由があります。それはポラスグループが住宅を建築・販売するエリアは、地盤が強くないケースが多いためです。
例えば、今回取材したのは埼玉県越谷市にある分譲住宅の開発現場。JR武蔵野線の「越谷レイクタウン駅」の近く、大型ショッピングモールがある、近年開発が進むエリアですが、レイクタウンと呼ばれるだけあり調整池があるなど、要は水分を多く含んでいる場所です。
現場も元は田んぼだったそうです。このような場所で、できるだけ安心安全な住まいを提供するために、地盤にまでこだわり、特に今回は新たな工法を取り入れるということをしているわけです。
今回はポラスグループについて紹介していますが、良心的なハウスメーカーでは地盤を調査したり改良工事を行う会社を持っているケースもあります。このような点を事前に確認しておくと、皆さんもより良い住宅取得に近づけるのではないでしょうか。
一般的に、地盤調査や改良工事は専門の業者が行うことが多く、その品質などについて住宅事業者は無頓着なケースもないとは言い切れないからです。
仮に分譲住宅を購入するなら、「地盤に関してどのような取り組みをしていますか」と聞いてみてください。詳しい調査の内容を明示し、納得のゆく回答をしてくれるのなら、安心感が高まるでしょう。このあたりを曖昧にするのなら、信頼度が薄まります。
私たちができる地盤チェックの方法とは
ところで、今回の取材で興味深かったのが、ポラスグループでは「土質」に関してまでしっかりと調査をしているということ。このことは、公的機関が明らかにしているデータはもちろん、自社でこれまでに施工した際に調査したデータを含め膨大な実績に基づくものだといいます。「SF-Raft工法」による地盤改良が行われた様子。丸く白っぽい部分が補強体。このようにしっかりと地盤に対して責任をもって対策を施すことができる住宅事業者を、住まい選びのパートナーとしたいものだ(クリックすると拡大します)
確かに、今回の施工現場の土は、元田んぼだったことから、黒っぽい色をしていました。それだけで、その土地の善し悪しがわかるものではないとのことでしたが、参考までにお知らせしておきます。
何を申し上げたいかというと、住宅を建築・購入する以上、皆さん自身もできる限り土地が持つリスクを理解しておくべきであるということです。言葉を換えると、住宅事業者任せにしないということです。
「住宅というと、価格や立地はもちろん、外観や間取り、設備など目に見えるものが注目されますが、地盤やその改良のあり方といった目に見えない点にまで注意して欲しいですね」
プロの方がそう語るのにはそれだけの理由があるのです。非常に重い言葉であると、私には感じられました。