今回の記事は住まいの「地盤」について。地盤は住宅を支え、その善し悪しは地震発生の際、建物の被害に大きく影響を与えるため非常に重要です。しかしながら、私たちにとってはそもそも見えづらい部分であり、そのため見過ごしがちなポイントでもあります。地盤に対する考え方や取り組みを確認することで、住宅事業者の善し悪しを判断する材料にもなるはずです。ここでおさらいしておきましょう。

軟弱地盤で発生する不同沈下現象

東日本大震災の発生直後、各地で「不同沈下」と呼ばれる現象が発生しました。これは、地震の揺れで地盤に含まれる水分が地表ににじみ出て液状化し、建物の重みを支えきれなくなり、建物が傾いてしまう現象です。

浦安

被害日本大震災後の千葉県浦安市の住宅地の様子。フェンスなどが明らかに傾いており、不同沈下の被害が住宅本体に影響していることが想像できる(クリックすると拡大します)

海岸を埋め立てた場所などで発生することが懸念され、東日本大震災では千葉県浦安市の被害の様子が連日報道され、世間の注目を集めました。ただ、海岸沿いの埋め立て地だけでなく、元々が田んぼだった地域や湖沼だった場所、つまり内陸部でも発生しました。

この他にも、東日本大震災では地盤に関わる問題が発生しました。例えば、住宅造成地の「盛土」(もりど)の部分が崩壊したケース。盛土は敷地の高低差を無くすために土を盛り上げた箇所のことです。

このように書くと、埋め立て地や盛り土の場所は地震の際には危険で、だからそのような土地の購入や住宅の建築は避けるべきとなりそうですが、一概にそうとも言い切れないのが地盤の難しいところです。

東日本大震災の際にも、例えば浦安市でも不同沈下が発生した場所、そうでなかった場所もありました。また、従来は危険性が少ないとされていた場所でも発生したケースがあります。要するに、新たに土地を購入するときに、その土地の危険性やかつてどのような場所だったかを知ることは難しいことなのです。

つまり、私たちはまず「地盤の状況は土地それぞれで異なる」ことを認識すべきなのです。東日本大震災から4年が経過し、地盤への問題意識が薄れつつありますが、このことを改めて考えていただきたいと思います。

さて、前述したように地盤の善し悪しというのは素人目にはわかりにくいこと。そのため、住宅を建てる前には「敷地調査」を実施します。これにより問題があると判定された場合は、「地盤改良工事」を施すことになります。

地盤改良の方法にはどんな種類がある?

その方法は大きく「柱状改良工法」と「鋼管杭工法」の2種類があります。前者は、地中の比較的浅い場所(6~8メートル程度)まで、土と混ぜ合わせたセメントのような柱をつくる工法です。それにより形成された補強体と土の摩擦で建物を支えます。

ベタ基礎

ベタ基礎の施工現場。一概にはいえないが、一般的に布基礎より、ベタ基礎の方が不同沈下の対策としては有効といわれている。ただ、地盤が軟弱な場合は、さらに地盤改良を行う必要がある(クリックすると拡大します)

後者は、前者と比べより地盤が軟弱だと判断されるケースで用いられる工法。鋼管(一般的には口径114.3ミリまたは139.8ミリ)を強固な地盤まで打設します。施工費用は、敷地の状況などにもよりますが、一般的には後者の方が高額になるケースがほとんどです。

このほか軟弱な地盤の層が薄い場合(約2メートル以内)は、その部分だけを補強する「表層改良工法」というのもあります。いずれにせよ、これらの改良工事を施した土地の上に鉄筋コンクリートの基礎を施工し、さらに住宅本体を載せることになります。

なお、基礎には床下全面に鉄筋コンクリートを打つ「ベタ基礎」と、柱などが載る部分にだけ打つ「布基礎」の2種類があります。そして、一般的にベタ基礎の方が軟弱な地盤に向いているといわれ、採用されることが多いようです。

それは、床下全面に鉄筋コンクリートを打つため接地面が大きく、基礎全体で建物を支えるから。ただ、ベタ基礎が万全というわけではありません。というのも、重量が重くなり、建物のバランスが悪いと重い方に沈み込んでしまう可能性があるためです。

要は、どんな住宅を建てるにせよ、しっかりと敷地調査をした上で、その土地が持つ地盤の特性を把握するべきということです。

さて先日、私は地盤補強に関する新工法について取材してきました。次のページでは、その事例を紹介しながら、さらに地盤のことについて考えていきます。