公的手当/旧制度「子ども手当」

「子ども手当7つの誤解」を解いてスッキリもらおう!(3ページ目)

6月より子ども手当の支給が始まります。時々子ども手当への批判が見受けられますが、もし「子ども手当は良くない制度」と思いながら給付を受ける家族がいれば、これはもったいない話です。いい制度を堂々ともらい、自由に使うため、誤解をいくつか解いておきましょう。これですっきり間違いなし!

山崎 俊輔

執筆者:山崎 俊輔

企業年金・401kガイド

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誤解4. 子ども手当をしても景気回復にならなければダメでしょう?

そもそも、これは景気回復策ではありません。おそらく一部の政治家かニュースのコメントからミスリードしているのではないでしょうか。子ども手当は子育て世帯の経済的支援策です。これにより景気が回復するかは全くの別問題です。

国は税金等で集めたお金を再分配して、いろいろな行政コストに回したり、社会的に貧困の恐れがある層に支給したりします。このとき、所得の再分配を行ってもむしろ子育て世帯の貧困率は拡大しているというデータがあります(OECD日本経済白書2007)。つまり、世の中の再分配は、子育て世代に回っていないどころか、子育て世帯は税金等を取られるばかりで、家計が悪化しているわけです。

少なくとも、中立であってほしいですし、むしろ子育て世帯の家計が好転するほうが望ましいですよね。

もちろん、子育て世帯の消費が回復することが景気回復に寄与することは考えられます。結果として景気回復に役立った、ということはあるかもしれません。

誤解5. 所得制限をかけないのはズルイからダメでしょ?

簡単に考えてみましょう。生涯独身者が2人いたら、既婚者1組が4人生まないと人口は減りますよね。単純に考えて。でも2人育てるのって、すごい経済的負担になります。4人育てる経済的負担はそれどころではありません。

子を作ることを国民の義務ということはできませんが、子どもを育てている世帯に社会的支援があってもいいのではないでしょうか

誤解4でも述べたとおり、子育てすると貧困率が高まる社会というのは少なくともおかしいですから、見直してもいいですよね。そのためには「子育てしているなら高所得者でも手当がもらえる」ことはそれほどおかしなことではありません。所得の多少ではなく、子育ての有無について支給を行うことは不公平というより、むしろ公平なことではないでしょうか

また、所得制限をかければ、市区町村はそのチェックのためのコストや手間がかかります。所得に応じて段階的に子ども手当が減る仕組みにすればさらに面倒がまします。行政サービスだって無料ではないわけです。

ところで、高所得者は低所得者より税率が高いことはご存じですよね? 金額的にも割合的にも税金を多く納めていても、彼らが行政サービスにおいて優遇されることはほとんどありません。ゴミ回収サービスが良かったり、警察で違反を見逃してくれることもありません。区役所の窓口の順番も早くなりません。

たくさん子育てしている高所得者の人に子ども手当が支給されていることは本当に不公平でしょうか?(子育てしていないお金持ちには当然支給されませんよね)

誤解6. 少子化対策にならないからダメでしょ?

これも誤解4に関連する誤解ですが、この制度はあくまで「子育て世帯に対する経済的支援」です。少子化対策とは直接関係ありません。近い話ではありますが、異なる話であることについて、整理して考えていく必要があります。

ただし、「子育ては経済的に割が合わない」というリスクから解放されることで、結果として少子化対策になることは考えられます。実際に若い人と話をしていると、「景気も悪いし仕事がなくなるかもしれないし、子どもを作ることがリスクである」という強い恐怖感があります。子ども手当により、こうした恐怖が少し解消されることは期待できます。ただし、それはあくまで副次的な効果です。少子化対策にならないから子ども手当がムダ、という議論は暴論だと思います。

また、従来行ってきた少子化対策を中止した、というわけでもありません。少子化対策はゼロにして、子ども手当にした、というような誤解も注意したいところです。

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