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20代でゼッタイ身に付けたい!お金の知恵

日々の生活はもちろんのこと、子どもが生まれたら子どもの教育費、住宅購入にいたるまで、人生では次々とお金のかかることがあります。そのときに十分な貯蓄があるかどうかで、人生の選択は違ってきます。20代からコツコツとお金を貯めることが大切なのですが、20代で身に付けたいのは、まずは「お金の知恵」なのです。

伊藤 加奈子

執筆者:伊藤 加奈子

貯蓄ガイド

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人生はゲームのように、リセットは何度もできない

若いうちに身に付けておきたいお金習慣

若いうちに身に付けておきたいお金習慣


よく、人生にはお金の貯めどきが3回あると言います。結婚して子どもが生まれるまでの期間、子どもの手が離れ、大学に進学するまでの期間、そして子どもが独立してリタイアするまでの期間の3回です。この期間を逃さずしっかり貯蓄をしておかないと、途中で住宅ローンの支払いが発生したり、子どもの進路によっては予想外の出費があったりと、貯められないどころか、出費がかさむ時期を乗り切ることができません。

また、昨今の晩婚化の影響で、出費がかさむ時期が重複してやってきたり、子どもの独立がリタイア直前というライフスタイルに変化してきています。リタイア後も子どもの教育費がかかったり、住宅ローンの返済が残っていて、退職金で残りのローンを返済したら、何も残らなかった、そんな50代、60代のケースが増加しています。こうなると、貯めどきがないまま、セカンドライフに突入する事態になり、頼るのは公的年金のみという生活です。

50代の人はリタイアまでの時間は限られていて、リカバリーするにも限界があります。しかし20代、30代であれば、これから先、20年、30年かけて着実にお金を貯められるチャンスはあるのです。

確かに、今は年収が右肩上がりになるのは期待できない時代ですが、だからと言って、20代から漠然と老後資金を心配するよりも、着実にコツコツとお金を貯める必要性を認識すべきなのです。お金が貯められない、と嘆いているヒマはないのです。
 

20代で身に付けておきたいお金の使い方

とはいっても、20代はなかなかな収入が上がらず、貯蓄にお金を回す余裕がないのも事実。2019年の大卒初任給平均は男性21万2800円、女性20万6900円です(令和元年 厚生労働省・賃金構造基本統計調査)。ここから社会保険料や所得税が引かれると手取りは18万~19万円程度ということになります。それに対して、シングルの1カ月の消費支出は平均で17万1297円(2020年2月公表、総務省統計局家計調査より、34歳以下の単身・勤労者世帯)。貯蓄に回すお金がない、というのも実情としてわかります。手取り収入でやりくりするのが精一杯の生活でしょう。

実際、筆者も社会人1~2年目はお金を貯めることがほとんどできませんでした。1年目はスーツや靴代、理美容費など社会人として整えなければならない出費がバカになりませんでした。また当時は深夜残業もありましたから、風呂なしアパートから風呂付きアパートへの引っ越しも必要でした。また大学進学にあたって借りた奨学金の返済もありました。貯蓄に回すお金がない、貯蓄をしても取り崩してしまうという生活だったのです。

さらに、2年目がキツイのは、住民税の源泉徴収が始まるからです。住民税は前年の所得に応じて給与から源泉徴収されるものなので、2年目から住民税がかかってくるのです。場合によっては、1年目より手取り収入が減ってしまう可能性もあります。

最初の1~2年目を乗り切るには、限られた収入のなかでどうやりくりするか、にかかってきます。少なくとも借金を抱えないことが非常に大切です。安易に次の給料日までのつもりでキャッシングをすると、その悪いサイクルを変えるのは至難の業。借金は絶対にしないことです。クレジットカードのリボ払いやボーナス払いも避けた方がいいでしょう。

新社会人当時、筆者が心がけていたことのひとつに、「安物買いの銭失いはしない」ということがあります。

若いのですから、流行のものを買いたくなりますが、着回しができるもの、流行に左右されない色、デザインの洋服を買い、長く着られるものを選ぶようにしていました。今は、ファストファッションで安く流行の洋服を買うことができますが、来年も果たして着られるか、という観点で考えると、安くてもまた来年買わなければならないとしたら、却って高くついてしまいます。少し高くても定番ものであれば、長く着ることができ、結果的には安い買い物だったと思えるでしょう。

もうひとつは、「給与以外の残業代や報奨金、ボーナスは別枠として、特別な支出用」と考えていました。学生時代から使っていた古い家電や家具の買い換え費用や帰省費は、ここから出すようにし、毎月の給料でとにかく1カ月を乗り切る、この繰り返しでした。少し余裕ができて積み立て貯蓄ができるようになったのは、社会人生活のペースがつかめてからでした。

社会人になると、とにかく最初から給与天引きの貯蓄をと言われますが、1~2年目は収支が安定せず、生活のペースもつかめないものです。最初からムリな金額を貯蓄に回してしまうと、途中で引き出すことになり、挫折感を味わい、再度、お金を貯めようと気持ちが湧いてこなくなってしまいます。特に、これまで実家暮らしだった人は、水道光熱費が1カ月にいくらかかるのか、食費はいくらかかるのか、いったい1カ月いくらあれば生活できるのが身に付いていません。お金の使い方というより、給料の使い方が身に付いていないのです。それでいきなりお金も貯めるというのは、難しいことかもしれません。まずは、「半年で給料の使い方を身に付けることが先決」でしょう。

半年もしくは、1年で1カ月の給料の使い方を把握したら、月による変動を少なくするようなお金の使い方を習得するようにしましょう。そのうえで、毎月5000円、1万円を増額して積み立てすることを考えましょう。

20代で身に付けた賢いお金の使い方は一生ものです。逆に、40代、50代になって、若いときの乱暴なお金の使い方から脱出しようと思ってもなかなかできないものなのです。
 

収入が急に増えることはない分、特権を利用する

会社員は健康保険に加入しています。企業独自の健保組合もあれば、各業界で作られた健保組合(たとえば、出版業界なら出版健保)、そして、協会けんぽのいずれかになります。これは単に医療費負担のためだけではなく、福利厚生の一環で運営されており、健保組合によってさまざまな特典があります。

旅行するにしても、組合健保で提携しているホテルなら割安で宿泊できたり、テーマパークなども割引があったりと、かなり充実した内容のところも多くあります。自分の勤務先の健保組合の提携先や割引制度などの特典は大いに利用すべきです。筆者も1~2年目のお金のないときは、会社や健保の提携先を利用してレジャーなど楽しんだものです。

収入が急激に増えるわけではない分、こうした「会社員ならではの特典は隠れた収入」とも言えます。支出を抑えなければならないだけで楽しみもなくては、仕事への活力も湧いてこないでしょう。

また、勤務先で財形貯蓄制度や確定拠出年金制度(マッチング拠出)が導入されていたら、真っ先に利用すべきです。これはお金が自動的に給与天引きされるからということもありますが、それ以上に、利息や運用益が非課税になったり、掛金が所得から控除されたりと、税制上の優遇があるからです。会社員は給与から源泉徴収されるので、税金に対しての意識が低くなりがちですが、「税金は支払うだけではなく、税の優遇や非課税になるものがある」のです。これも、隠れた収入と言っていいでしょう。

社会人1年目、2年目から全力で貯蓄や投資をする必要はありません。それよりも正しいお金の使い方や、税制など社会制度を理解することが大切です。トクすることばかり考えずに、知らなくてソンすることがないようにしたいものです。

こうしたお金の最低限の知恵を身に付けたら、アクセルを踏み込んで、フルパワーで貯蓄をしていくようにしましょう。ムリをする必要はありませんが、2年目、3年目の時点では、自分が毎月いくら貯蓄に回せるのかが、把握できているはずですし、そうでなくてはなりません。

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