ヒットを連発するマツダ、小型SUV「CX-3」はどうか?
最近ヒットを連発しているマツダの最新作『CX-3』に試乗した。車格としてはホンダ・ヴェゼルや日産ジュークが競合だが、乗用車としてはホンダ・フィットやマツダ・デミオ級で小型SUVに属す。手頃な価格帯&燃費が良いため、世界的に需要が増えているクラスでもある。写真を見ていただければわかる通りカッコ良い。現在、日本で売っているクルマの中で最も美しいデザインだと評しても大げさじゃないと思う。1.5リッターのターボディーゼルを搭載するが、全長4275mm×全幅1765mmというボディサイズの関係で3ナンバー登録になります(税金は排気量で決まる)。
乗るとどうか? マツダに限らず初期生産車は仕上がりのバラ付きが多く、明確に評価しにくい傾向。今回、6速ATのFFと4WD、そして6速マニュアル車に試乗したのだけれど、結論から書けば、6速マニュアルのFFモデルのみ自信を持って推奨しておく。以下、理由を挙げてみたい。
AT車は全般的にエンジン音がにぎやか。絶対的な音量というより、音質に課題を抱えているんだと思う。アクセルを開ける量に対する音質の変化も気になる。加えてハンドルにエンジン振動を伝えてしまっており、他のマツダ車より質感は低い。4WDよりFFの方がいくぶん良いです。
6速マニュアル車に乗り換えると、不思議なことに全ての点で好ましい。エンジン音も振動も全く気にならず。エンジンと関係が無いと思われる乗り心地まで良いのだった。開発担当者に聞いたら「もう少し走って慣らしが終わるとAT車も良くなると思います」。後日、試乗車を借りてチェックしてみます。
6速マニュアルのFF車だけ推奨する理由
AT車もマニュアル車も、絶対的な動力性能は若干物足りない感じ。考えてみれば車重が1300kg前後あるのに105馬力。最大トルクこそ270Nmで2.5リッター級のガソリンエンジンと同等なのだけれど、絶対的な加速性能は最高出力で決まってしまう。もう20馬力くらいあればいいのに、と思う。もちろん街中で乗っていて不満か、となれば日本の交通状況なら何とかなる。いや、普通に走っている限り、トルクがあって乗りやすいと感じるほど。ただ、アクセル全開加速や、登り坂の加速で「う~ん」。もし不満なら2.2リッター175馬力のディーゼルを搭載しているCX-5など考えてみたらいかがか。
なぜ6速マニュアルのFF車だけ推奨かと言えば、4WDはABSの制御に課題を抱えているからだ。右側輪がアイスバーンで左側輪は舗装路のような状況でブレーキを掛けると、ABSがアイスバーンに合わせてしまう。当然ながら制動距離は長くなる。この対策を完了したら、4WDも大いに推奨したい。
最後に価格。売れ筋になるだろう『XDツーリング』はFFで259万2000円と決して安くないように見える。ただ、ディーゼルの補助金(現時点で未定。15万円くらいか?)を使うと245万円。さらに普通なら20万円以上する純正ナビがマツダは約4万円で装着出来てしまう。ここで実質15万円安い。
補助金とナビを合わせて30万円の「わかりにくいお買い得分」を持つ。ライバルとなるヴェゼルのハイブリッドと比べ、むしろ割安なくらいだ。また、11万8800円でこのクラス唯一のレーダー式自動ブレーキを装着出来る点も素晴らしい。とりあえず6速マニュアルのFFは太鼓判を推します。
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