学校から親が呼び出されると、いったい何ごとかとドキドキしますよね。
友だちを叩いたと子ども……親が先生から「叱られる」ときの留意点
1)まずは謝る → 情報収集まずは「お手数をおかけしたこと」を謝罪しましょう。これまでの担任の先生とのやりとりなどからモヤモヤする気持ちがあったとしても、子どもが毎日1日中一緒に行動する担任の先生を敵に回すのは得策ではありません。また、親からの謝罪によって先生の気持ちは少しトーンダウンします。
その上で、問題行動の起こった前後の状況を詳しく聞き出しましょう。無鉄砲に見える子どもの行動にも、すべて子どもなりの理由がありますので、先生の言うことを鵜呑みにせず、かといって子どもの肩も持ちすぎず、淡々と状況の確認をすることが大切です。
2)子どもをサポートする態勢を作る
トラブルの全体像が見えてきたら、解決に向けて先生と協働する方法を考えましょう。残念なことですが、中には「問題児扱い」をして、家庭でのしつけがなっていないと暗に責めてくる教師もいます。要は、その先生の「手に負えない」のです。ですから、ただただ謝罪を繰り返すのはNG。家庭の問題だと強調してくる先生は、もしかしたら自分の教師としての力量に自信がなくて、自分のせいではないと思いたいのかもしれません。そうしたニュアンスが感じられた場合は、先生を「いかにして巻き込むか」を考えましょう。
「親としてどう関わればいいのかわからなくて困っています」と、正直な気持ちを話してみるのもいいかもしれません。これまでどのような試行錯誤をしてきたかを伝えてみるのもいいでしょう。親と教師が連携する際に最も大切なのは「お互いを尊重する」態度です。親には「我が子のことをいちばんわかっている」という自負がありますし、教師には「教育のプロ」というプライドがあります。親と教師で子どもの色々な側面を共有しながら、子どもの育ちを支える「役割分担」ができるよう、話し合えるといいですね。
「この先生には話が通じない」と思った時は、教頭先生や保健室の先生、スクールカウンセラーなどと、どのようにつながれるかを考えましょう。学校に呼び出されたときは、学校と家庭の両側から子どもをサポートできる態勢作りのチャンスなのです。
相手の子に怪我をさせていたのかどうかや、先方に謝りに行った方がいいかどうかを迷うようなら、どのように対応すればよいかを先生に率直に相談しましょう。
友だちを叩いた子どもへの叱り方にはコツがある
子どもの「言い訳」を十分に聴いてあげましょう
大切なのは、先生に言われたことを鵜呑みにして、頭ごなしに叱らないことです。親も人間ですから「あんたのせいで私が先生から怒られた」という不満を子どもにぶつけたくなったりするかもしれませんが、そこは我慢、我慢。先生への不満は、子どもの問題ではありません。
1) 状況を共有する
まずは「先生から、こういうことがあったと聞いた」と、事実を淡々と伝えましょう。これが、親子の話し合いのための「共通の土俵」になります。しかし、この「状況の確認」で、齟齬が生じることもかなりの頻度で起こってきます。
「先生からはこう聞いたけれど、あなたはこういう状況だと捉えていたのね」と、そのまま共有しましょう。「真実をつきとめる」という姿勢は無用です。当事者である子どもの立場と、先生の立場からでは、見えているものが自ずと違っているからです。
子どもがうそをついていたとしても、子どもの言うことを信じて共有することが大切です。親が子どもを信じる姿勢を見せ続けていれば、いずれ子どもの方から、うそだったと打ち明けてくれます。その時には、どうしてうそをついたのかを聞いてみましょう。子どもがうそをつくときは、何かをこわがっています。何をこわがっているのかを見極めることが、問題解決の糸口となるでしょう。
2) 子どもの言い分を聴く
「言い訳するな!」と問答無用で叱ってしまうと、子どもは気持ちの持って行き場がなくなります。いきなり反省を求めても、子どもはモヤモヤを溜めて反発するだけです。子どもの問題行動には、必ずその子なりの「理由」がありますので、それに耳を傾けましょう。例えば、他の子を叩いてしまったのであれば、「叩きたい気持ちになったんだね。何か理由があったと思うんだけど、教えてくれる?」といった感じで、投げかけてみましょう。よくわからないようなら、その前の状況はどうだったのかを聞くことで、思い出すかもしれません。
もしかしたら「消しゴムを貸してって頼んだのに、貸してくれなかったから」とか「バカにされたから」といった理由が語られるかもしれません。大人が些細なことだと思うことだったとしても、子どもには切実な問題だったのです。子ども同士のトラブルは、なんらかのやりとりがあって起こっていますので、「その時、どんな気持ちになったの?」と、気持ちを聞き出し、その気持ち自体は肯定してあげましょう。
とっさに手が出る子どもは、その時の自分の気持ちがよくわかっていないことが多いものです。ですから、ていねいに気持ちを聞いていくと、自分の気持ちの動きをとらえるトレーニングとなります。自分の気持ちが自覚できれば、次の行動を、ひと呼吸おいて考えられるようになります。
3) 暴力はいけないことだと伝え、子どもに考えさせる
気持ちを十分に聴いたら、「そんなことされたら悔しい(悲しい)気持ちになるのは当然だと思う。でも、どんな理由があっても暴力はいけなかったと思うよ」と、サラリと伝えましょう。非暴力を教えるのですから、上から威圧的に「暴力をふるったお前が悪い」と怒ったのでは、まったく意味がありません。
そして、暴力以外にどんな選択肢があったかを子ども自身に考えさせましょう。子どもから出てこないようなら「ママはこんな方法があったと思うけど、どう思う? 他に何かいいアイデアがある?」というように投げかけてみましょう。「5つくらい考えてみようか」と、ゲームのようにブレーンストーミングするのもいいかもしれません。そして、同じ要領で「これからどうすればいいか」を一緒に考えましょう。
この段階まで来ると、子どもは自分が「いけないことをした」と自覚でき、自然と反省しているものです。
【関連記事】