<目次>
スタンダードなイタリア語の相槌
イタリア語の相槌
Sì? スィー?(そうなの?)
No? ノ?(そうじゃないの?)
Ah, sì? アッスィー?(ああ、そうなの?)
Ah, no? アンノ?(ああ、そうじゃないの?)
例えばこんな会話で使われます。
Andando a scuola ho incontrato Luisa.(学校に行く途中、ルイーザに会ったよ)
Ah, sì? Come stava?(ああ、そう? 彼女元気だった?)
Non lavoro più in banca.(もう銀行で働いてないんだ)
Ah, no? E cosa fai adesso?(ああ、そうなの? で、いま何してるの?)
「No?」「Ah, no?」は、否定文を受けて、「ああ、~ではないんですね」という意味で使われます。でも日本語では、肯定文を受けても否定文を受けても「ああ、そうなの?」と言うことが多いので、しかるべき場面でとっさに「Ah, no?」と言うのはけっこうハードルが高いです。否定のnonが入った文に対しては反射的に「Ah, no?」と言えるように、頭のなかで何度もシミュレーションするのもよいかもしれません。
話の続きを促す相槌
では次に、相手の話の展開に興味がでてきて、「それで、それで?」「それで、何が起きたの?」と続きを促すあいづちを覚えましょう。E poi? エッポーイ?(それで、そのあとは?)
E allora? エ・アッローラ(それで?)
E cos'è successo? エ・コゼ・スゥッチェッソ(それでどうなったの?)
e…そして poi…そのあとで allora…それで
cos'è…「cosa 何が」+「è 助動詞」
successo…「succedere 起きる」の過去分詞
続きが気になるとき、話の展開を知りたいときに使われるこの3つの表現のうち、特に便利なのが「E allora?」です。「e」なしで「Allora?」とだけ言われることもあるこの表現は、ふつうのトーンで言えば、ニュートラルな「それで?」という言い方ですが、つめたいトーンで言えば、「だから何なの?」「それが何?」「それがどうかした?」という、相手を突き放す表現にもなります。
驚きを伝える相槌
旅から帰った友の話には、驚きが詰まっています。「その町がね、本当に宙に浮いているように見えるんだよ」「Ma dai!」
相手の話にびっくりして、「ええっ?」「うそー?」「まさか?」と言うとき、便利なのが次の表現です。
Dai! ダーイ
Ma dai! マッダーイ
「dai」はいろいろな場面で大活躍する言葉で、人を励ましたり、促したりするときに便利です。あいづちとしては、驚きを表すときによく使われます。「ma」はもともと「しかし、でも」という意味のつなぎ言葉ですが、開口一番に添えると話の勢いがつくので、日常会話でよく耳にします。
「人気クイズ番組に出ることになったよ」「Ma dai!」
「これ、ぼくが最近買ったスポーツカーだよ」「Ma dai!」
「あのふたり、もう別れたんだって」「Ma dai!」
というふうに、何でも「Ma dai!」でOKです。もう少ししっかりと驚きを伝えるには、
Davvero? ダッヴェーロ?(本当?)
Veramente? ヴェラメンテ(本当に?)
Sul serio? スゥル・セーリヨ(本気で言ってる?)
Mamma mia! マンマ・ミーヤ(うわー!何それー!)
なども便利な表現です。さらに驚きが大きい場合は、こんな言い方も。
Non ci posso credere! ノン・チ・ポッソ・クレーデレ(信じられない!)
*non…~ない ci…そのことを posso…~できる credere…信じる
陽気で楽しいイタリアも、実際に住むとなったら、行政&民間サービスの対応にびっくりし、苦労することもあるかもしれません。日本式のていねいで確実な対応に慣れている私たちだけでなく、イタリア育ちのイタリア人でも「もう信じられない!」という思いになるときがあるそうです。そんな話になったとき、さっと「Non ci posso credere!」と言ったあとで、気持ちをポジティブに切り替えられるといいですね。
あきれていることを伝える相槌
相手の話に驚きつつも、「まったく……」「なにそれ?」「もういったい何なの?」「もう知らんわ!」とあきれることもありますね。そんなときに活躍するのが、次の言葉です。Ma insomma... マ・インソンマ
「insomma」の基本的な意味は「要するに」ですが、たとえば厚かましい人の話を聞いて、驚き、あきれるようなときにも使える便利な表現です。少し「あきらめた感じ」を漂わせて言うと、なおよし!
そもそも、イタリア語で「相槌を打つ」って何と言うの?
じつは、イタリア語で「あいづちを打つ」ことを一言で表せる、決まった表現はありません。「うなずく」とか「同意する」とか「話のリズムを保つ」といった言い換えはありますが、あいづちのいろいろな側面を一語で翻訳できないのです。これは、イタリア語会話のあいづちが日本語会話のものより、影が薄い証拠かも? ということで、同じような条件の会話を録音して、実際に数をカウントしてみました。相槌の回数を数えてみれば……
イタリアのテレビで観察すると、あいづちというより、みんなが同時にしゃべっている姿がよく見られます。
録音したのは、日伊のラジオ健康相談番組です。
- 女性の司会者に対して、男性の医師が説明している会話
- 女性の司会者に対して、女性のリスナーが症状を説明している会話
の2種類を比較してみました。
その結果、イタリア語会話の場合、
1では、1分につき1.5回
2では、1分につき4.5回
日本語会話の場合、
1では、1分につき10回
2では、1分につき12回
という回数が得られました。これは一サンプルに過ぎませんが、だいたいの傾向は表していると言えそうです。
イタリア語で相槌を打つコツ
ここで、イタリア語らしいあいづちを打つコツが見えてきました。そう、日本語の感覚であいづちを打つのを控えて、回数を減らすのです。それも、4分の1から5分の1に減らすとよさそうです。実際に試すとわかりますが、日本語の会話であいづちを減らそうと思うとけっこう大変です。というのも、相手の話に、あきらかにあいづちを打たれることを期待している「間」があるので、打たずにはいられないからです。ですが、イタリア語の会話では多くの場合、そのような「間」がありません。「間」=あいづちを打つ「すきま」がない、だから「間」がない限りはひたすら聞くだけ、じっとがまんする。これで、あなたの応答がよりイタリア語らしいものになること、請け合いです。簡単なことですが、意外な盲点でもあるこのポイント、ぜひお試しください!
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