疲労回復法/お風呂・温泉を使った疲労回復法

療養泉は10種類!あなたの症状にあった温泉の選び方(2ページ目)

そのガイドブックはもう古い!? 温泉を選ぶ目安となる「適応症」が実に32年ぶりに2014年に環境省によって改訂されました。「最新!あなたの症状にあった温泉の選び方(その1)」に引き続き、新しい指針をもとに、あなたの症状にあった最新の温泉の選び方をご紹介いたします。

早坂 信哉

執筆者:早坂 信哉

医師 / お風呂・温泉の医学ガイド

6) 含鉄泉

■特徴
色としては赤褐色のものが多く、これは含まれている鉄成分が酸化鉄となっているためでいわゆる鉄サビの色です。湧出したばかりの時は透明です。比較的刺激が強い場合が多く、皮膚の弱い方は、入浴後は真水で流してもいいでしょう。薬のなかった昔は貧血改善に飲用していましたが、治療効果を得るためにはかなりの量を飲む必要があり、現在では、鉄欠乏性貧血は通常内服薬で治療します。

■適応症
療養泉の一般的適応症に準じます。

7) 酸性泉

■特徴
酸味があり、色はほとんどが無色又は微黄褐色です。塩酸、硫酸、ホウ酸などを多く含むため、殺菌力が強いと言われています。慢性的な皮膚病に用いられることがあります。皮膚への刺激が強く、入浴後には真水で洗い流す方がよいでしょう。皮膚病の療養に用いる場合は、自己判断は難しく、医師の指導の下で行うのがお勧めです。足浴の例ですが、酸性水浴が糖尿病患者の血糖値などに効果があった、という研究もあったことから適応症に耐糖能異常(糖尿病)が入りました。

■適応症
アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、耐糖能異常(糖尿病)、表皮化膿症

8) 含よう素泉

■特徴
これまでは療養泉としてリストにはありませんでしたが、今回の改正によって新たに追加された泉質です。飲用で高コレステロール血症を改善するといった研究報告があったことなどから追加の提案がなされたものです。

■適応症
療養泉の一般的適応症に準じます。

9) 硫黄泉

■特徴
いわゆる卵のくさった臭い、とも言われる臭いが特徴です。いかにも効きそうな乳白色をしている温泉はこの泉質が多いです。刺激が強く、殺菌作用もあります。成分が皮膚から吸収され、血管を拡げる作用が強い温泉です。臭いは有毒な硫化水素ガスなので、換気に注意する必要があります。

■適応症
アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮化膿症、末梢循環障害

10)放射能泉

■特徴
微量の放射能を含み、ラジウム泉、ラドン泉とも呼ばれます。皮膚や呼吸器から吸収されますが、すぐに排出されるために心配はありません。特に鎮痛効果は研究されており、頸椎脊椎症の患者さんの鎮痛効果があったとする研究報告があります。

■適応症
高尿酸血症(痛風)、関節リウマチ、強直性脊椎炎


10種類と数が多いので複雑になっていますが、温泉のガイドブックやネットの情報をみると、たいてい、この泉質名を記載しているものが多いようです。温泉選びの際には、雰囲気や温泉の色ばかりでなく、最新の適応症も参考にして、あなたにぴったりの温泉を選んでみてください。

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