気持ちよくお金を使うには、居心地のいい口座かが大事
「理由はよくわからないけど、なんだか居心地がいい」と感じて住まいを決めた経験はありませんか? どうせ日中は仕事で家は寝に帰るだけだからと、日当たりが悪い住まいを選んでしまうと、家の空気が一日中動かず、気の流れが悪くなり、自分の健康にも悪影響を与えてしまいます。「なんだか居心地がいい」と感じるのは、部屋の空気の流れを無意識のうちに感じ取っているからです。筆者も数多くの引っ越しをした経験からですが、何十軒と部屋を見て回って、ピンとくる物件は一瞬で感じたものです。カラダとココロは正直に反応するものだと思います。
実は、お金にも居心地のいい場所があるのです。節約ばかりに気を取られて、お財布の中にお札を眠らせていては、外に飛び出したくなるでしょう。衝動買いは、その典型です。気持ちよくお金が役割を果たせるように、どんなことに注意したらいいのか、ご紹介します。
ムダな手数料は気持ちがいいものではない
お金には「使う」「貯める」「増やす」の3つの大きな役割があります。その役割にあった居心地のいい場所を用意することが、あなたに課せられたミッションです。まず、「使う」ためには、もちろんお金を引き出してお財布で管理、または電子マネーに入金しますが、それまでスタンバイしてもらうための銀行口座が必要です。普通は、給与振込口座がこれにあたります。給振口座をホームにして、家賃や公共料金の引き落とし、各種の振込、そして生活資金の引き出しをします。
この時に、気持ちよくお金が外に出ていくためには、引き出し手数料や振込手数料が無料であることが重要です。「口座残高や、その他の取引に応じて時間外手数料や振込手数料が無料」、などと手数料がタダになるサービスは一部の銀行で用意されています。こうしたサービスをきちんとチェックして無駄な手数料を払わずに、気持ちよくお金を使いたいものです。
もしも、自分の銀行でこうしたサービスがなく、時間外ATMを利用することが多いなら、手数料がタダになる銀行に乗り換えることも検討してください。勤務先で変更ができなければ、面倒かもしれませんが、給与が振り込まれたら、自分で新しい口座に入金しなければなりません。でもそれをやるだけの価値はあります。月に何度も手数料を払って振込や引き出しをしているなら、あっという間に500円、1000円と手数料だけでお金は消えていくのです。そんなお金の使い方は、決して気持ちがいいものではありません。
貯める場所は、使う場所と違う口座にする
映画館や美術館、デパートがストレス発散の場所だとしたら、住まいは休息の場所であり、明日への活力を蓄える場所といえるでしょう。では、お金が安心して休息し、将来のためのエネルギーを蓄えておける場所はどこでしょうか?もしも、使う場所と同居していたら、休息したいお金は落ち着いていられません。使うお金と一緒に外に出てしまうかもしれません。「貯めるための場所」は、使う場所と分けて用意しなければなりません。
最も安心なのは、給与が振り込まれる前に確保できる「財形貯蓄」などの給与天引きの口座を持つこと。勤務先になければ、給与が振り込まれたらすぐに、別の場所に移し替えることです。これが銀行の自動積立定期預金です。同じ銀行に同居しながらも、別の部屋を用意するだけで、お金は安心して休息できるでしょう。
それでも、同居していると、ときどき使うお金と間違えて外に出してしまう可能性もあります。こうした経験がある人は、別の銀行という場所を用意しましょう。この時、せっかく別の銀行を用意するなら、いままで使っていた銀行とは違う特色のある銀行を選ぶのも一つの方法です。
これまで都市銀行のような大きな家を使っていたなら、もう一つは別荘感覚で地方銀行の高金利定期預金を使うとか、エネルギーチャージがすばやくできるネット銀行の定期預金などが候補になります。貯める場所は安心と休息、エネルギーを蓄えることが目的ですから、「日常の使いやすさ」という点は、優先順位を下げていいのではないでしょうか。
増やす場所は、総合力と機動力が優先
お金を増やす場所=お金に働いてもらう場所。自分の職場の環境はどんなタイプでしょうか。得意分野の仕事に専念できる環境ですか? さまざまな部署があって多くの経験ができる環境ですか? 会社によって仕事環境は異なります。自分がどういう働き方をしたいかによって、働く場所を選べるのが理想です。しかし、現状は正社員になることが理想であったり、できるだけ長く勤められることが重要であったりします。
自分の勤務先を自由に選べないなら、せめて自分のお金には自由に働いてもらいましょう!
何が理想かは、どうお金に働いてもらいたいかによって違いますが、1つの投資商品に注力するよりは、いろいろな投資商品を組み合わせて、自分好みのスタイルに作り上げられたらいいと思いませんか? そう考えると、お金を増やす場所は、「投資商品の選択の幅が広い」ところとなります。大きくは銀行か証券会社の2つから選択することになりますが、選択の幅が広いことを重視するなら証券会社となります。
さらに、証券会社のなかでも得意分野やサービス内容に違いがあり、それを選び取っていくのは非常に難しいのは事実。従来のように人と対面して取引をするのか、ネットで大抵の取引は完結するのかは、自分の実際の仕事スタイルと似ているかもしれません。メールやSNSサービスを利用して取引先とやりとりをすることが得意なら、ネットでの取引になじみやすいでしょう。やはり最後は人だ、という人は従来型の対面式の証券会社が安心かもしれません。
ただし、今の投資の環境はめまぐるしく変動しています。親の世代のように、昔買った株を長く持っていただけで2倍、3倍になるという時代ではなくなっています。お金に効率よく働いてもらうためには、変化への対応がすばやくできることが求められます。どの証券会社を選ぶにしても、動きの速さに対応できるサービス、たとえば注文の仕方が複数用意されている、時間外の取引もできる、情報提供のスピードが速いといった機動力に注目するといいでしょう。
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最後に筆者の経験から。
仕事柄、銀行、証券会社の口座を複数所有しています。口座を持っていないと得られない情報があり、実際に使ってみないと利便性がわからないからです。でも、都市部から住まいを移し、これまでのお金の流れを一変させる必要がでてきました。サラリーマン時代から30年近く利用していた「お金を使う口座」が利用できなくなったのです。
「お金を使う口座」を変えるのは、大変な作業でした。公共料金だけではなく、各種クレジットカードの引き落としや積立貯蓄や積立投資などの振替など、すべての手続きを終わらせるのに、非常に時間と手間がかかりました。しかし、お金の流れは変えることで、改めて「使う場所」「貯める場所」「増やす場所」が整理できました。これが実にすっきりした気持ちになるから不思議です。生活に欠かせないお金。この流れをスムーズにすることが、これほど大切なことなのだと、あらためて実感しています。
みなさんも、お金の流れを変えるのは労力がかかることだと思いますが、やってみるだけの価値は大いにあります。ぜひ、お金の居場所を作り、気持ちのいい生活を送ってください。
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