選択的シングルマザーはあり?
パートナーを持たずに子どもをもつ女性のことを、選択的シングルマザー(英語ではSMC、つまり Single Mothers by Choice)あるいは非婚シングルマザー、または計画的シングルマザーともいうそうですね。米国では選択的シングルマザーが1990年代はじめの5万人から、今では15万人にまで増えてきているようです。(出典:マーク・J.ペンほか『マイクロトレンド―世の中を動かす1%の人びと』)パートナーが子育てに何のプラスもないなら、シングルマザーを選ぶのもあり?
最近はシングルマザーに対する公的な補助も充実してきていますから、子育てに対して何のプラスもないようなパートナーであったり、むしろマイナスが大きいのであればあえてシングルマザーを選ぶという選択もありなのかもしれません。ただ、経済基盤がない状態でシングルマザーを選択するのはとても危険です。自分の経済力が、1人で子どもを育てるために十分なものなのかをしっかり見極めて選択する必要があります。
日本では未婚女性への精子提供は認められていない
精子提供とは本来、男性不妊の治療に使われる方法で、結婚しているカップルの女性に第3者の精子を人工授精するというものです。日本では、未婚女性が病院で精子提供を受けようと思っても対応はしてもらえません。もし、どうしても精子提供を受けたかったら、海外の精子バンクを利用するしかないのです。夫はできれば欲しいけど、でもゆっくり選んでいる時間がないというアラフォー女性にとっては、精子提供も選びうる「妊娠」の手段の一つと言えます。検索すれば国内でも精子提供が受けられるようにうたっているサイトがありますが、民間団体の精子提供を利用するのはとても危険です。なぜなら、精子の提供者が本当に安全な相手なのかが分からないからです。もしかしたら、精子提供者が何らかの感染症にかかっているかもしれません。しかも、病院できちんと人工授精を受けるのでない場合は、提供された精子の衛生状態も分かりません。安易にこのような精子提供サービスを利用しないように注意が必要です。
子どもの「出自を知る権利」を考えておく
ある先輩女性医師に、アラフォーの友人が精子提供を受けたがっているという話をしたら、「わざわざお金払って海外になんていかなくても、その辺のイケメンか優秀な男性に声をかければ済む話じゃない?」という回答が返ってきました。確かに、相手が特定できてもいいのであれば、「この人の遺伝子だけが欲しい」と思う相手に「妊娠させて」とお願いするという手段もあります。実際、ある男性の優秀な遺伝子だけが欲しいからと、同じ男性と2回結婚して2回離婚した方もいらっしゃいました。ただ、精子提供を受けるにしても、特定の男性から遺伝子だけもらうにしても、産まれてきた子どもに「父親が誰なのか」をどのように説明するのかをきちんと考えておく必要があります。最近は、精子提供で出生した子どもにも自分の出自を知る権利があるという考え方から、どのくらいの年齢になったらどのように話すべきなのかも議論されるようになってきています。自分の「子どもが欲しい」という希望を満たしたいがために、産まれてくる子どもの人権を侵害してしまうことのないように、慎重な選択が求められると思われます。