大事なのは「自分で選択」すること
生物学的に最も妊娠に適しているのは、25~26歳くらいです。ところが、現代女性は人生の選択肢が昔に比べて非常に多くなりましたから、必ずしもこの年齢で妊娠を希望するとは限りません。むしろ、初婚年齢は年々高くなっているので、妊娠を希望するタイミングも遅くなりがちです。卵子に「タイムリミット」がなければ、仕事や趣味などやりたいことをしっかりやりつくしてから妊娠を目指して、全く問題ないでしょう。
卵子のタイムリミットがある中、ライフプランはどう考えたら良い?
ところが、実際は卵子は年齢とともに確実に劣化してしまいますから、いつが自分にとって最適な「産み時」なのかを考慮したライフプランを立てる必要があります。妊娠・出産を意識したライフプランとは、「妊娠・出産をするのか」「するのならいつがいいのか」「何人子どもがほしいのか」「仕事を続けながら子どもを持ちたいのか育児に専念するのか」といったことを考えながら、自分の仕事とプライベートの計画を立てていくということです。
計画は途中でいくらでも変更はできます。でも、全く計画せずに「気づいたらこの年齢だったんです。これから妊娠できますか?」とご相談にいらっしゃる40代の方も少なくありません。最終的に、「産まない」という選択をして納得できればそれでOKなわけですから、自分の意思でベストな選択ができるように、あらかじめライフプランを立てておきましょう。
20代の場合
20代の間は、卵子の劣化も緩やかなので妊娠率はほとんど下がりません。妊娠とそれ以外のどちらを優先しようか迷ったら、まだ妊娠を「最優先」にする必要はない時期です。ただ、この先何歳くらいまでには結婚して、いつごろ妊娠したいのかは考えながら過ごしていった方がいいでしょう。
30代前半の場合
30歳を過ぎると、徐々にですが卵子の劣化は進んでいきます。妊娠したいなという気持ちがあればそろそろ妊娠を優先させた方がいい時期です。まだ、1年という時間の経過が大きなダメージになるほどではありませんから、「ここまで頑張ったらその後は妊娠を優先しよう」「この1年で妊娠を目指せる環境を整えよう」といった「2~3年以内に妊娠を目指す」計画を立てていくことをお勧めします。妊娠を希望しているけれどパートナーが決まらないという人は、「どうしても妊娠したいから本気で婚活する」のか、のんびりいい人を探して「間に合えば妊娠を目指す」のかを見極めた方がいいでしょう。
30代後半の場合
35歳を過ぎると急速に卵子の劣化は進んでいきます。本気で妊娠を希望しているなら、妊娠を最優先していくべき時期です。「できれば妊娠したいな~」くらいのスタンスであれば、無理に妊娠を目指す必要はありません。ただ、1年たつごとに妊娠率はどんどん下がるので、自分がどのくらいの強さで妊娠を望んでいるのかを確認する必要があります。「なんとなく…」でのんびり2~3年過ごしてしまって、いざ「やっぱり妊娠したい」と思った時にはタイムリミットが目前に迫ってしまっていた、ということのないように、自分にとっての「妊娠」の位置づけを見直してみましょう。30代後半で、仕事を理由に妊娠を先延ばしすることはあまりお勧めできません。もしすでに結婚していて、妊娠を強く希望しているのであれば、今のうちに妊娠を目指し始めた方がいいでしょう。
40代前半の場合
すでに卵子の劣化は進んでいるため、妊娠率はかなり低くなっている時期です。妊娠を希望しているのであれば、すぐにでも産婦人科を受診して、体外受精まで視野に入れた上で積極的に妊娠を目指していった方がいいでしょう。パートナーと、どこまで治療するのか、いつまで妊娠を目指すのかも相談が必要です。あくまで「自然」にこだわりたいという人は、無理に不妊治療を行う必要はありません。ただ、年齢的には自然妊娠が難しいことをしっかり理解した上で、「自然にできればうれしいし、できなければ子どものいない人生もあり」なのかどうかを、自分の胸に聞いてみた方がいいでしょう。年齢的には、半年の差が大きく妊娠率に影響を与えますので、迷っているうちに治療を開始するタイミングを逃してしまうのは避けたいところです。