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忍び寄るインフレ、家計で取るべき対策は?

昨年の平均物価上昇率は2.7%。本格的なインフレの兆しが見え隠れする昨今、家計で取るべき対策は?「支出1割削減」やインフレを上回る運用だけでは不十分!? インフレによる家計への影響の10年シミュレーションをしてみました。

平野 泰嗣

執筆者:平野 泰嗣

ふたりで学ぶマネー術ガイド

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インフレが家計に与える影響とは

忍び寄るインフレ、気がつかないうちに家計は綱渡り状態に!

忍び寄るインフレ、気がつかないうちに家計は綱渡り状態に!

総務省統計局公表によると、消費者物価指数(全国・総合)の昨年の平均は、前年比2.7%上昇したとのことです。物価上昇の主な要因は、昨年4月の消費税増税による影響(日銀試算では2%)と言われています。個々の品目別に見ると、食料3.8%、水道光熱費6.2%、家具・家事用品3.8%、教養娯楽費3.7%前年比上昇となっていて、生活に密接に関わりのある家計項目が、軒並み大幅な上昇となっています。皆さんも、日々の生活を通して、インフレを実感している頃ではないでしょうか? 今回は、インフレが家計に与える影響を少し長期的な視点で見ていきたいと思います。

インフレが家計に与える影響は、予想以上に大きい!

インフレとは、モノやサービスの全体の価格水準(物価)が、持続的に上昇する経済の状態をいいます。日銀は、インフレの目標を2%に設定しています。もし、10年間続けて2%のインフレが続いたとすると、年間生活費が250万円の家庭では、10年後の生活費は約305万円になります。これだと、なかなかイメージしにくいかもしれません。年収300万円の人が、10年後にも同額の300万円貰えたとしても、インフレによって、現在の物価水準で246万円に給料が減らされたのと同じことになります。こう考えると、インフレの怖さを実感できるのではないかと思います。

よりイメージが沸くように、簡単な家計のシミュレーションをしてみましょう。

●亜棒土 太郎さん(仮名、30歳・独身)
・年収300万円(手取り)……賃金上昇は、毎年3%上昇
・年間生活費250万円……通常は、考えられないが分かりやすいように支出の増加は見込まない
・貯金残0円……銀行預金、金利は分かりやすいように0%、これから一生懸命貯める!

まずは、インフレがない場合の10年間の収支と資産の残高を見てみましょう。

※家計のインフレ影響のシミュレーション1 (C)FPオフィス Life & Financial Clinic

※家計のインフレ影響のシミュレーション1 (C)FPオフィス Life & Financial Clinic


働き盛りの亜棒土太郎さんは、順調に収入を増やし、生活水準を全く変えないで、10年間貯蓄に励んだ結果、1,092万円の貯金ができるという試算結果になりました。これならば、結婚して、マイホームを購入するのに十分と言えそうです。

今度は、収入条件を同じにして、支出がインフレ率(物価上昇率)2%の影響を受けることを想定して、同じように10年間の収支と資産の残高を見てみましょう。

※家計のインフレ影響のシミュレーション2 (C)FPオフィス Life & Financial Clinic

※家計のインフレ影響のシミュレーション2 (C)FPオフィス Life & Financial Clinic


賃金の上昇率3%は、インフレ率2%を上回っていて、さらに生活水準を変えないで頑張ったにも関わらず、10年後の貯金は800万円という試算結果になりました。800万円でも十分な貯金だと思われる人も多いでしょう。けれども、今の800万円と10年後の800万円の価値は違います。インフレ率を考慮すると、10年後の800万円は、今の価値(現在価値)に直すと656万円に目減りしてしまいます。インフレのない場合と比較すると、実に500万円以上の差が出ることになります。

>>インフレの怖さとは何でしょう!?

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