ひな人形の収納スペース
ひな人形は、出したらしまわなくてはなりません。「最近は“収納飾り”といって、人形と道具をひとつの箱に収納できるタイプが人気です。収納にお悩みのご家族にはご好評いただいています。ただ、時たま、その箱を入れる場所に苦労したというお話も伺います」と齊藤さん。「ひな人形の入った収納飾りを横にするのには抵抗がありますし、私たちとしてもおすすめできません。ひな壇や屏風を立てて収納できるという点で普通のひな人形を選ばれた方もいらっしゃいます。収納飾りをご検討の場合は、ご自宅の収納を確認のうえサイズを選ばれると良いかと思います」。なるほど。とはいえ、収納のことだけで小さなお雛様になるのもさみしいので、購入の際には不用品を処分し、暮らしをスッキリさせて、気に入ったお雛様を飾りたいですね。
優雅な立ち雛はインテリア的にもオススメ
お話を伺いつつ、たくさんのひな人形を見せていただいたのですが、お値段の高いものは、それだけの優美さがありました。ガイドが心奪われたのは、立姿雛。古来日本には、3月の初めの巳(み)の日に、災いを人形(ひとがた)に移して厄払いする「上巳節(じょうしせつ)」という行事があり、これが貴族のひいな遊びと結びついて、ひな祭りに変化します。長らくは貴族の間での子供のお守りであったひな人形が庶民に根付いたのは江戸時代ですが、その由来は宮中の儀式にあります。それゆえ、そもそも立っている姿、立ち雛が正しいという説もあります。人形が厳粛な顔つきなのは、宮中行事に臨んでいるから、なのだとか。
ディテールまでこだわった作品。後姿まで美しいので、お部屋の真ん中に置きたいくらい。なお、古来の日本文化では、男性は向かって右、女性は向かって左とされ、現在でも京都地方ではおひな様もそのように配置されています。それ以外の地域では逆に、左にお内裏様、右におひな様を飾る傾向にあるので、各家庭でどちらに飾るかを決めて良いそうですよ
「ひな人形を長く飾ると嫁き遅れる」のは迷信
どうしても気になっていたので聞いてみました。「4月まで飾っているとお嫁にいけない」なんて言われますが、本当? ご安心ください、全くのデマなんだそうです。かつては子供の数も多く、次に端午の節句が控えていたため、早くひな人形を片付けて五月人形を…という気持ちがあったのかもしれず、そんな時に「嫁き遅れる」というインパクトのある言葉で片付けさせようとした話が広まった、という説が有力。女の子だけのおうちなら、しばらくは飾っていても問題ありません。
ひなまつりは3月だけじゃない?
江戸時代には「後の雛(のちのひな)」と言って、重陽の節句(9月9日)に、桜の花を菊の花に変え、ひな人形を愛でる風習がありました。こちらは子供のお守りではなく、自分自身の健康と長寿を祈って飾るおひな様。なお、これには秋の気候のよい時に人形を飾りながら虫干しして、長持ちさせる意味もあったのだとか。最近は40歳代以上の大人の女性が自分のためにおひな様を購入して愛でるのが、密かなブームになりつつあるそうです。サイズや価格など、いろいろ比較できるのがオンラインショップのいいところ。「インターネット上でたくさんの種類を見て、好みのものを見つけるのが重要です」とのアドバイスをいただきました。今後ひな人形を購入する予定の方は、今のうちからいろいろとみておくと良いですよ。
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