「残酷な天使のテーゼ」松永貴志「地球は愛で浮かんでいる」より
この「残酷な天使のテーゼ」は、エヴァンゲリオンの有名なテーマ曲。ヴォーカル曲なので多くの歌手にカヴァーされている人気曲でもあります。
その知られたテーマ曲を、ピアニストの松永貴志は、何のてらいもなく、一気にジャズの世界へと連れていきます。切れの良いリズムで、奏でられるジャズピアノの調べは、まぎれもなくスリリングなエヴァンゲリオンの世界。
2年前のクリスマスにイベントで松永のソロピアノでこの曲を聴く機会があり、その際も感じたのが、松永のリズムのキレ。まさに、サイボーグが活躍するサイバーな世界の表出にはうってつけのピアニズムと言えます。
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「エンプティネス、ロンゲスト」鷺巣詩郎「The world!EVAngelion JAZZ night=The Tokyo III Jazz club=」より
それぞれ聴きどころがありますが、中でも、7曲目のテナーサックスの小池修をフューチャーした「エンプティネス、ロンゲスト」が美しい出来です。ストリングスものが得意な小池のサックスはさすがの艶っぽさ。後半のビッグバンドアレンジも楽しい演奏です。
綾波レイのシーンが印象的なアニメのエンディング。それと同様このアルバムのエンディングに使われたスタンダード曲「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」がサックスソロ、ピアノソロ共にもっと最初からじっくりと聴きたかった感があります。
出だしから入るショウのエンディングを思わせる英語のナレーションも悪くはないのですが、演奏が良いだけに惜しい、と思ってしまいます。
とは言え、いずれにしても、あらゆる点でこだわりのアニメ、エヴァの、多才で知られる鷺津詩郎が細部にまでこだわったジャズヴァージョンの決定盤だということは間違いがないところです。
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「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」と言えば
アストラッド・ジルベルト「ザ・ガール・フロム・ボサ・ノヴァ~デビュー40周年記念ベスト」より「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」
この曲は、最初に「イン・アザー・ワーズ」(言い換えると)という題名で1954年に世に出ました。でも、その時はヒットにならず、忘れられていましたが、60年代になり、「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」という題名でボサノヴァのリズムにしたところ大ヒットしたという曲です。ボサノヴァといえば、やはり女王アストラッド・ジルベルトで聴きたいところです。デビュー40周年を記念したアルバムで、他の珠玉の名唱と一緒に聴くことができます。時がたっても色あせない、素朴な歌声は、日曜の午後にぴったりです。
忙しい日々の中の一時の休日。たまにはのんびり紅茶でも入れて、ボサノヴァを楽しみませんか。
さあ、今回のエヴァンゲリオンのジャズ、いかがでしたか?まだまだ、アニメのジャズヴァージョンは沢山あります。機会を見てご紹介していきますね。では、また次回お会いしましょう!