身体を通して役の感情の起伏を
わかりやすく、生き生きと伝えたい
『コンタクト』撮影:下坂敦俊
「劇団四季に入ってバレエは封印し、新しい松島勇気になろうと思っていた時で(笑)。そこで『アンデルセン』のニールス役の話をいただいて、“白タイツはけるのかな”、と一瞬不安がよぎりました。当時は『キャッツ』や『コーラスライン』などのダンス中心の演目に出演していて、特に『キャッツ』は普通に立つことはほとんど無くて低姿勢で腿に体重をかけているので、そこにがっちりと筋肉がついていたんです。タイツをはいて、毎日バーレッスンで立ち方から鍛えなおしましたが、バレエ・ダンサーの筋肉に戻すのにはすごく時間がかかりましたね」
――ニールスの時も、この前の『コンタクト』のブランコのシーンの従僕を演じられた時にも感じたのですが、こと女性を相手に夫婦喧嘩をしたり悋気を見せるといった人間臭い表現が、松島さんは非常に上手でいらっしゃいますね。こういう表現がダンスを通してできる方って、なかなかいらっしゃらないと思います。
『コンタクト』撮影:下坂敦俊
――『ウエストサイド物語』にも2007年以降、何度も出演されています。リフとベルナルドが持ち役ですね。
『ウェストサイド物語』撮影:上原タカシ
――となると、今取り組んでいる『クレイジー・フォー・ユー』のボビー・チャイルドは本質的に松島さんにぴったりではないですか!
「そうですね、近いとは思います」
――今後チャレンジしてみたい演目などありますか?
「チャレンジというか、大好きな作品がありまして、『壁抜け男』なんですよ。あの作品を観ていると幸せになれる。ちょっと切ないけれど、その切なさも魅力的です。何の役でもいいから出たいですね(笑)。(『青い鳥』の)犬のチローもまたやりたいです」
――表現者としての夢は?
『劇団四季FESTIVAL!扉の向こうへ』撮影:荒井健
――ダンスが主体の全幕もののオリジナル・ミュージカルが生まれたりすると素敵ですよね。観客としては、“踊る松島さん”はいつまでも拝見したいですが。
「有難うございます。誠心誠意務められるよう頑張ります!」
*****
とにかく明るい松島勇気さん。初対面にも関わらず、筆者ともども何度笑ったかわからないくらい、笑い声の響くインタビューとなりました。バレエで培った優雅さ、安定感に加え、出演作を通して快活さ、野性味、人間臭さなど多様な引き出しを蓄えてきた彼が、様々に苦闘しながらも取り組んでいる今回の『CFY』。松島さんの武器であるダンスはもちろん、彼本来の明るさが生きた、とびきりハッピーな舞台となることでしょう。
*公演情報*『クレイジー・フォー・ユー』2015年2月22日開幕=四季劇場「秋」
*次頁で『クレイジー・フォー・ユー』観劇レポートを掲載しています!